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1章 旅立ち
1-7話
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「お父様、お母様…使者の方を呼んでいただけますか?
この度の婚姻について、お話をさせていただければと思います」
直ぐに謁見が叶った両親にセラフィリーアは頭を下げる。
「お父様、アルトリアからの書簡に返信をしたいと思いまして」
「うむ。で、お前はどうしたい?」
座した父と、その隣に静かに立つ母。
仲良さげな姿。
自分の想い描く夫婦の理想は両親なのだ。
「お父様とお母様みたく、互いを尊重した関係を築きたいので、いきなりの婚姻ではなく、期間を設けて互いの事を知った上で婚姻できるかを判断したいと思います。
それを了承していただきたいのです。それでなければお断りを。」
「わかった。使者殿に明日伝えよう」
条件付きの了承を考えていなかったような、複雑な表情を浮かべた父と母であったが、顔を見合わせてから頷くとアルトリアの使者に使いを送った。
「セラ、明日お前も立ち会いなさい。使者殿にはお前の意思を伝えると同時に同じ内容の書簡を持たせる。
受け入れるか受け入れないかの回答を貰ってからにはなるが、もし、あちらがその条件を受け入れた場合、お前は留学と言う形であちらに滞在し、そのまま残ってもいいと思った場合は…」
「はい、アイヴィス陛下に嫁いでもいいと思った場合は…ファレナスとアルトリアの架け橋になります」
腹は括った。
アルトリアは、ファレナスから条件を提示されるとは思っていないだろう。
断られるのを前提に、こちらの意見を伝える。
いきなりの申し入れをしてきたのはあちらなのだから。
「お父様、もし何かがあり結婚をするときにもアルトリアにはいくつか条件を出したいと思います。
それをアイヴィス陛下が受け入れるかはわかりませんから、そのときはファレナスにご迷惑をおかけすると思います」
目を伏せて頭を下げる。
顔を上げてから両親の前を辞した。
そのまま部屋に戻る気になれずに、再び温室に向かう。
日が落ちた温室はぼんやりと灯る間接照明で、昼とは違う趣となっている。
いつの間にか斜め後ろに控えたアスランが、そっと肩にストールを掛けてくれた。
「アスラン、ありがとう。まだどうなるかわからないけれど、アルトリアに一緒に着いてきてくれる?」
幼い頃から一緒にいてくれたアスラン。
アスランの事を考えるなら、アスランはファレナスに残った方がいいのかもしれない。
「勿論です」
間髪を入れずに返ってきた言葉に、すこしホッとしてベンチに座る。
思っていた以上に自分の心の中は不安が占めていたのだろう。
息を吐き出すとどっと疲れが出てきた気がした。
アルトリアのアイヴィス陛下…
どんな方なのだろうか。
噂でしか存在を知らない。
今回も驚きはしたが、無理を言って強行手段をとってきたわけでもない。
まだ?若いとは言え、セラフィリーアももうすぐ成人なのだ。
もっと早くから出逢い互いを知っていれば良かったのだろうか。
アスランのお茶をそっと口にしてからガラスの建物を見上げるのだった。
この度の婚姻について、お話をさせていただければと思います」
直ぐに謁見が叶った両親にセラフィリーアは頭を下げる。
「お父様、アルトリアからの書簡に返信をしたいと思いまして」
「うむ。で、お前はどうしたい?」
座した父と、その隣に静かに立つ母。
仲良さげな姿。
自分の想い描く夫婦の理想は両親なのだ。
「お父様とお母様みたく、互いを尊重した関係を築きたいので、いきなりの婚姻ではなく、期間を設けて互いの事を知った上で婚姻できるかを判断したいと思います。
それを了承していただきたいのです。それでなければお断りを。」
「わかった。使者殿に明日伝えよう」
条件付きの了承を考えていなかったような、複雑な表情を浮かべた父と母であったが、顔を見合わせてから頷くとアルトリアの使者に使いを送った。
「セラ、明日お前も立ち会いなさい。使者殿にはお前の意思を伝えると同時に同じ内容の書簡を持たせる。
受け入れるか受け入れないかの回答を貰ってからにはなるが、もし、あちらがその条件を受け入れた場合、お前は留学と言う形であちらに滞在し、そのまま残ってもいいと思った場合は…」
「はい、アイヴィス陛下に嫁いでもいいと思った場合は…ファレナスとアルトリアの架け橋になります」
腹は括った。
アルトリアは、ファレナスから条件を提示されるとは思っていないだろう。
断られるのを前提に、こちらの意見を伝える。
いきなりの申し入れをしてきたのはあちらなのだから。
「お父様、もし何かがあり結婚をするときにもアルトリアにはいくつか条件を出したいと思います。
それをアイヴィス陛下が受け入れるかはわかりませんから、そのときはファレナスにご迷惑をおかけすると思います」
目を伏せて頭を下げる。
顔を上げてから両親の前を辞した。
そのまま部屋に戻る気になれずに、再び温室に向かう。
日が落ちた温室はぼんやりと灯る間接照明で、昼とは違う趣となっている。
いつの間にか斜め後ろに控えたアスランが、そっと肩にストールを掛けてくれた。
「アスラン、ありがとう。まだどうなるかわからないけれど、アルトリアに一緒に着いてきてくれる?」
幼い頃から一緒にいてくれたアスラン。
アスランの事を考えるなら、アスランはファレナスに残った方がいいのかもしれない。
「勿論です」
間髪を入れずに返ってきた言葉に、すこしホッとしてベンチに座る。
思っていた以上に自分の心の中は不安が占めていたのだろう。
息を吐き出すとどっと疲れが出てきた気がした。
アルトリアのアイヴィス陛下…
どんな方なのだろうか。
噂でしか存在を知らない。
今回も驚きはしたが、無理を言って強行手段をとってきたわけでもない。
まだ?若いとは言え、セラフィリーアももうすぐ成人なのだ。
もっと早くから出逢い互いを知っていれば良かったのだろうか。
アスランのお茶をそっと口にしてからガラスの建物を見上げるのだった。
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