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1章 旅立ち
1-6話
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ディートリッヒが帰ってから、暫くは温室から出られずにセラフィリーアは考えていた。
アルトリアのこと、アイヴィスのこと。
婚姻を断ったところで何かあるとは思いたくない。
だが、ファレナスと交易をしているならば、それを止められることも考えられる。
まぁ、そんな心が狭い王だとは思いたくないが。
また、自分が嫁ぐことでファレナスに何かあったときはファレナスの国土を守ってくれるかもしれない。
そんな事を考えながら、アスランが持ってきてくれたアルトリアの情報を記した本に目を通していた。
書いてある事は、今までアルトリアについて学んで来たことはかりだったが、復習も兼ねて目を通す。
「アイヴィスの姿絵は、あまり出回っていないみたいだ…ただ言えるのは黒髪、黒目…まぁ、見慣れた色か」
日本人に生まれれば黒髪等は見慣れた色で、むしろ落ち着く色である。
そう言えばあまりこの世界には黒髪がいないなと思いつつ自分の水色の髪を撫でる。
アスランのおかげで綺麗に天使の環ができているが、自分でしろと言われたら即座に切り落としたくなる長さだ。
だって、俺だった時はそんなに長くなかった。
男性には少し長めかもしれないが。
もし、嫁に行くなら身の回りの世話をしてもらうのにアスランも一緒じゃないと困るなぁと溜め息を吐いてから、また本に視線を落とす。
「姿絵は、美化して書いてある事が多いし…小さくてはっきりとは見えないなぁ。」
硬貨サイズの姿絵を拡大鏡で覗いてみても、しっかりとはわからないが、それでも美形の部類に入るのはわかる。
整った輪郭やきゅっと引き結ばれた唇。
「でも、竜って見てみたいんだよなぁ…乗れたら最高なんだけど」
昔から動物が好きで、アルトリアに多く生息する竜を見たいと幼い頃から願っていたセラフィリーアだったが、
こんなことがきっかけでお近づきになるのなら少し複雑ではある。
文をやり取りするような小竜ならば見たことがあるが、人が騎乗できるような竜は未だ目にする機会はない。
少なくともファレナスには一頭も居ない。
小山のような大きさで、蜥蜴のように全身が鱗、猫のような縦長の瞳孔と口にはびっしりと細かい歯が並んでいると聞く。
そんな姿の生き物に騎士達は騎乗して空を駆けるのだ。
「…あ」
竜の挿し絵を見ながら小さな声をあげたセラフィリーアは口許に笑みを乗せる。
「アスラン、お父様にお話をしたいから連絡を取ってくれる?」
いいことを思い付いたとばかりにセラフィリーアは手を叩き、アスランにお願いをしたのだった。
アルトリアのこと、アイヴィスのこと。
婚姻を断ったところで何かあるとは思いたくない。
だが、ファレナスと交易をしているならば、それを止められることも考えられる。
まぁ、そんな心が狭い王だとは思いたくないが。
また、自分が嫁ぐことでファレナスに何かあったときはファレナスの国土を守ってくれるかもしれない。
そんな事を考えながら、アスランが持ってきてくれたアルトリアの情報を記した本に目を通していた。
書いてある事は、今までアルトリアについて学んで来たことはかりだったが、復習も兼ねて目を通す。
「アイヴィスの姿絵は、あまり出回っていないみたいだ…ただ言えるのは黒髪、黒目…まぁ、見慣れた色か」
日本人に生まれれば黒髪等は見慣れた色で、むしろ落ち着く色である。
そう言えばあまりこの世界には黒髪がいないなと思いつつ自分の水色の髪を撫でる。
アスランのおかげで綺麗に天使の環ができているが、自分でしろと言われたら即座に切り落としたくなる長さだ。
だって、俺だった時はそんなに長くなかった。
男性には少し長めかもしれないが。
もし、嫁に行くなら身の回りの世話をしてもらうのにアスランも一緒じゃないと困るなぁと溜め息を吐いてから、また本に視線を落とす。
「姿絵は、美化して書いてある事が多いし…小さくてはっきりとは見えないなぁ。」
硬貨サイズの姿絵を拡大鏡で覗いてみても、しっかりとはわからないが、それでも美形の部類に入るのはわかる。
整った輪郭やきゅっと引き結ばれた唇。
「でも、竜って見てみたいんだよなぁ…乗れたら最高なんだけど」
昔から動物が好きで、アルトリアに多く生息する竜を見たいと幼い頃から願っていたセラフィリーアだったが、
こんなことがきっかけでお近づきになるのなら少し複雑ではある。
文をやり取りするような小竜ならば見たことがあるが、人が騎乗できるような竜は未だ目にする機会はない。
少なくともファレナスには一頭も居ない。
小山のような大きさで、蜥蜴のように全身が鱗、猫のような縦長の瞳孔と口にはびっしりと細かい歯が並んでいると聞く。
そんな姿の生き物に騎士達は騎乗して空を駆けるのだ。
「…あ」
竜の挿し絵を見ながら小さな声をあげたセラフィリーアは口許に笑みを乗せる。
「アスラン、お父様にお話をしたいから連絡を取ってくれる?」
いいことを思い付いたとばかりにセラフィリーアは手を叩き、アスランにお願いをしたのだった。
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