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2章

16話

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私は、椅子に座ったまま色々な事か決まっていく中でひとり何もわからずそこに居た。
隣に座るレイジュは、隣に居るのに凄く遠くにいるような感覚で。

「ティア、どうした?体調が悪かったか?」

何も言葉を発しなかったからだろう、レイジュが心配そうに私の顔を覗き込んでくる。

「いえ、大丈夫です」
「いきなりの大人数の前に来たのだから仕方ない。直ぐに終わらせるからもう少しだけ待ってくれ」

そう言うレイジュにこくりと頷きを返す。
我慢するより、この場に私が居る意味は無いだろう。
何故この場所に呼ばれたのかもわからないのに。
ひとつだけわかっているのは、私がレイジュの籍に入るのだと言う事。
それは嬉しくあるのだけれど……。

「では、これで朝儀を閉める」
「御意」

ザッと立ち上がった人々。
それを見て俺も遅れて立ち上がろうとした所をレイジュに抱き上げられた、

「レイジュ」
「あぁ、宮に帰ろう……悪かったな」

シャランとレイジュの頭上で冠が音をたてる。

「外せ、ティアの顔に傷を付ける」
「ですが!」
「構わん」

私の為に冠を外すと言うレイジュの方頬にそっと触れる。

「駄目だよ、レイジュ……その何も被らない姿は俺の特権なんだから、皆に見せちゃ駄目……それに、俺歩けるから。体調悪くないからね」

そうか?と、頷いたレイジュに隣に立っていた侍従だろう、ホッとした表情をする。
周りをそっと見ると、目を伏せる人達が多かった。

「だが、ティアは宮に私が連れて行く。午後からは必要があれば此処に対応する」

俺を抱き直したレイジュはすたすたと歩き出して部屋を出る。

「レイジュ、俺が居たからこんなに朝儀が短かったの?いつもならもっと長くやっているよね?ごめんなさい」

私はそう謝るしかできない。
色々と許してくれてはいるがレイジュのお荷物になりたくないのだ。

「あそこに居たのは、筆頭家臣だ。だからティアの顔を覚えさせたかった、勿論今朝の議題は婚姻式の事が中心だったが、全員に前もってティアが誰なのかは説明してあるからな?」

心配するなと笑いながらレイジュは宮に戻ると漸く長椅子に私を下ろしたのだった。
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