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2章

4話

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「引っ越すなら良い日がいいのでしょうか」

何かで引っ越すのは良い日を選ぶと聞くが、敷地内は引っ越しとは言わないのだろうか。

「此処はレイジュの家の離れ?レイジュがいつも過ごす部屋からは遠いの?」

ふと気になったこと。
聞いても良かったのかとちらりとレイジュを見ると、答えにくそうにした。

「ごめんなさい。レイジュのすべてを知りたいって我儘は言わないから」

そんな我儘ばかりでは嫌われてしまうだろう。
ティアはふるふると頭を振った。

「話せるときに話す…話したらティアに嫌われそうだから…もう少しだけ何も聞かずに待って欲しい」
「はい。レイジュが良いと思うときに…」

手を繋いで笑みを浮かべて頬を寄せる。
きっと、何らかの理由があるのだろう。
こんな自分を選んでくれたのだから、レイジュを信じたい。

「レイジュ、無理をしないで?毎日逢えたら嬉しいですが、此処に来るのも大変でしょう?」
「ティアの顔を見るのが癒しだからそんなことは言うな…むしろ、毎日逢いに来てとおねだりがいいな。ほら?」


レイジュに長椅子に座らされると、言ってみろと促される。
毎日逢いに来て。だと、レイジュの唇が言葉を紡ぐ。

「えっ、あの…」

ほらほら、言ってみろと詰め寄られて、近いレイジュの顔に顎を引きながらそっと囁く。
ただ、その表情はレイジュから見ると上目遣いの表情に見えるのをティアは知らない。

「毎日…逢いに来て…くださいますか?」

小首をかしげたお願いポーズ。
その顎を掴まれて、逆に上向かされると、レイジュの唇が唇に触れた。

「んっ…」

重なる唇に何度目だろうと思いながら、ティアは目を伏せる。
視界が遮断されると、途端に五感が冴える。
目が見えていなかった頃の名残なのだろう。
触れる舌先に、声を溢すとレイジュの服の裾を握ってしまう。
恥ずかしいけれど、喜びが先にたってしまい、レイジュを受け入れてしまう。
好きという気持ちは偉大だななんて思いつつそっと唇を離した。
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