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1章

30話

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「ほほ、ティア様、漸く出来ましたから、眼球へ塗布しますが少しだけ染みるかもしれません。それが傷を修復する痛みですから少しの間は我慢してくだされ…」

ホウアン様の優しい声と、朝から今日はずっとレイジュかわ手を握ってくれているのだ。
お仕事に行かないのか聞いても、今日は休むの一点張り。
確かにこうしてレイジュがいてくれるのなら心強い。

「ありがとうございます」
「ほっほっ、レイジュ殿、心配なのはわかりますがの、少しだけ退いていてくだされ」

レイジュの手が離れていく。

「では、付けますが、少し上を向いてくだされ」

レイジュとホウアン様が位置を変わったのだろう。
ホウアン様の声が近くなり、そっと乾いた手が私の手に触れる。
それから眼球に濡れた感触。
じんわりと広がる温かいような感覚と、ピリッと走る痛み。

「鈍い痛みは1日くらいで収まるらしいからの、痛ければ鎮痛剤もあるから行ってくれれば処方します」
「はい、大丈夫です…治る為の痛みですから…ホウアン様は大丈夫ですか?ちゃんと眠っていらっしゃいましたか?」
「ほほ、儂の心配は大丈夫じゃ、ありがとうのぅ」

快活に笑ったホウアン様に少しだけホッとして首を戻す。

「眠れるなら少し眠るのも良かろうと思いますが…」
「大丈夫です…眠くなったら寝てしまうかもしれませんが…」

絹擦れの音がして、レイジュが座った。

「今日1日一緒にいるから、心配するな」
「ありがとうございます」

レイジュの優しさがただただ嬉しかった。
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