30 / 52
1章
30話
しおりを挟む
「ほほ、ティア様、漸く出来ましたから、眼球へ塗布しますが少しだけ染みるかもしれません。それが傷を修復する痛みですから少しの間は我慢してくだされ…」
ホウアン様の優しい声と、朝から今日はずっとレイジュかわ手を握ってくれているのだ。
お仕事に行かないのか聞いても、今日は休むの一点張り。
確かにこうしてレイジュがいてくれるのなら心強い。
「ありがとうございます」
「ほっほっ、レイジュ殿、心配なのはわかりますがの、少しだけ退いていてくだされ」
レイジュの手が離れていく。
「では、付けますが、少し上を向いてくだされ」
レイジュとホウアン様が位置を変わったのだろう。
ホウアン様の声が近くなり、そっと乾いた手が私の手に触れる。
それから眼球に濡れた感触。
じんわりと広がる温かいような感覚と、ピリッと走る痛み。
「鈍い痛みは1日くらいで収まるらしいからの、痛ければ鎮痛剤もあるから行ってくれれば処方します」
「はい、大丈夫です…治る為の痛みですから…ホウアン様は大丈夫ですか?ちゃんと眠っていらっしゃいましたか?」
「ほほ、儂の心配は大丈夫じゃ、ありがとうのぅ」
快活に笑ったホウアン様に少しだけホッとして首を戻す。
「眠れるなら少し眠るのも良かろうと思いますが…」
「大丈夫です…眠くなったら寝てしまうかもしれませんが…」
絹擦れの音がして、レイジュが座った。
「今日1日一緒にいるから、心配するな」
「ありがとうございます」
レイジュの優しさがただただ嬉しかった。
ホウアン様の優しい声と、朝から今日はずっとレイジュかわ手を握ってくれているのだ。
お仕事に行かないのか聞いても、今日は休むの一点張り。
確かにこうしてレイジュがいてくれるのなら心強い。
「ありがとうございます」
「ほっほっ、レイジュ殿、心配なのはわかりますがの、少しだけ退いていてくだされ」
レイジュの手が離れていく。
「では、付けますが、少し上を向いてくだされ」
レイジュとホウアン様が位置を変わったのだろう。
ホウアン様の声が近くなり、そっと乾いた手が私の手に触れる。
それから眼球に濡れた感触。
じんわりと広がる温かいような感覚と、ピリッと走る痛み。
「鈍い痛みは1日くらいで収まるらしいからの、痛ければ鎮痛剤もあるから行ってくれれば処方します」
「はい、大丈夫です…治る為の痛みですから…ホウアン様は大丈夫ですか?ちゃんと眠っていらっしゃいましたか?」
「ほほ、儂の心配は大丈夫じゃ、ありがとうのぅ」
快活に笑ったホウアン様に少しだけホッとして首を戻す。
「眠れるなら少し眠るのも良かろうと思いますが…」
「大丈夫です…眠くなったら寝てしまうかもしれませんが…」
絹擦れの音がして、レイジュが座った。
「今日1日一緒にいるから、心配するな」
「ありがとうございます」
レイジュの優しさがただただ嬉しかった。
81
お気に入りに追加
510
あなたにおすすめの小説

代わりでいいから
氷魚彰人
BL
親に裏切られ、一人で生きていこうと決めた青年『護』の隣に引っ越してきたのは強面のおっさん『岩間』だった。
不定期に岩間に晩御飯を誘われるようになり、何時からかそれが護の楽しみとなっていくが……。
ハピエンですがちょっと暗い内容ですので、苦手な方、コメディ系の明るいお話しをお求めの方はお気を付け下さいませ。
他サイトに投稿した「隣のお節介」をタイトルを変え、手直ししたものになります。

目標、それは
mahiro
BL
画面には、大好きな彼が今日も輝いている。それだけで幸せな気分になれるものだ。
今日も今日とて彼が歌っている曲を聴きながら大学に向かえば、友人から彼のライブがあるから一緒に行かないかと誘われ……?
六日の菖蒲
あこ
BL
突然一方的に別れを告げられた紫はその後、理由を目の当たりにする。
落ち込んで行く紫を見ていた萌葱は、図らずも自分と向き合う事になった。
▷ 王道?全寮制学園ものっぽい学園が舞台です。
▷ 同室の紫と萌葱を中心にその脇でアンチ王道な展開ですが、アンチの影は薄め(のはず)
▷ 身代わりにされてた受けが幸せになるまで、が目標。
▷ 見た目不良な萌葱は不良ではありません。見た目だけ。そして世話焼き(紫限定)です。
▷ 紫はのほほん健気な普通顔です。でも雰囲気補正でちょっと可愛く見えます。
▷ 章や作品タイトルの頭に『★』があるものは、個人サイトでリクエストしていただいたものです。こちらではいただいたリクエスト内容やお礼などの後書きを省略させていただいています。

前世である母国の召喚に巻き込まれた俺
るい
BL
国の為に戦い、親友と言える者の前で死んだ前世の記憶があった俺は今世で今日も可愛い女の子を口説いていた。しかし何故か気が付けば、前世の母国にその女の子と召喚される。久しぶりの母国に驚くもどうやら俺はお呼びでない者のようで扱いに困った国の者は騎士の方へ面倒を投げた。俺は思った。そう、前世の職場に俺は舞い戻っている。




ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる