14 / 52
1章
14話
しおりを挟む
「ティアは、随分と綺麗になったな」
レイジュの言葉に身体が固まる。
そんなこと言われた事はない。
遠い記憶の母は子供ながらに綺麗だった記憶があるけれど、それは男の自分に言う単語ではない気がする。
「レイジュ?」
「初めて会ってから一緒にいる間にどんどんティアを好きになった、恋人になってくれないだろうか…不自由はさせないつもりだ」
自分の耳はどうにかなってしまったのだろうか。
好きだとか、恋人にとか、聞こえた気がした。
「ティア?」
「あ、すみません…ちょっと耳が…」
右耳を撫でるとレイジュが笑った。
「恋人になって欲しいんだが…聞こえていなかったか?」
「いえ、あの…」
何と答えて良いかわからない。
何が正解なのだろうか。
「私の何処が…でしょうか。盲目で、お荷物にしかならないです」
「そう思っているのはティアだけだ」
「それに、私は男…ですよ?」
どう聞いてもレイジュの声は男性だし、怪我をしたときの傷を手当てしたのも男性だった。
間違いはない。
「それが、どうかしたか?」
「え」
「何が問題なんだ?俺はティアが好きだ。ティアは俺をどう思う?」
「良い…方かと…」
どう答えろと?
「なら、いいだろ?」
「ええと…」
私の頭は考えることを放棄した。
なら、決まりだななんて、レイジュが笑い俺は何も言えなくなった。
レイジュの言葉に身体が固まる。
そんなこと言われた事はない。
遠い記憶の母は子供ながらに綺麗だった記憶があるけれど、それは男の自分に言う単語ではない気がする。
「レイジュ?」
「初めて会ってから一緒にいる間にどんどんティアを好きになった、恋人になってくれないだろうか…不自由はさせないつもりだ」
自分の耳はどうにかなってしまったのだろうか。
好きだとか、恋人にとか、聞こえた気がした。
「ティア?」
「あ、すみません…ちょっと耳が…」
右耳を撫でるとレイジュが笑った。
「恋人になって欲しいんだが…聞こえていなかったか?」
「いえ、あの…」
何と答えて良いかわからない。
何が正解なのだろうか。
「私の何処が…でしょうか。盲目で、お荷物にしかならないです」
「そう思っているのはティアだけだ」
「それに、私は男…ですよ?」
どう聞いてもレイジュの声は男性だし、怪我をしたときの傷を手当てしたのも男性だった。
間違いはない。
「それが、どうかしたか?」
「え」
「何が問題なんだ?俺はティアが好きだ。ティアは俺をどう思う?」
「良い…方かと…」
どう答えろと?
「なら、いいだろ?」
「ええと…」
私の頭は考えることを放棄した。
なら、決まりだななんて、レイジュが笑い俺は何も言えなくなった。
62
お気に入りに追加
503
あなたにおすすめの小説
彼の至宝
まめ
BL
十五歳の誕生日を迎えた主人公が、突如として思い出した前世の記憶を、本当にこれって前世なの、どうなのとあれこれ悩みながら、自分の中で色々と折り合いをつけ、それぞれの幸せを見つける話。
天涯孤独になった少年は、元兵士の優しいオジサンと幸せに生きる
ir(いる)
BL
ファンタジー。最愛の父を亡くした後、恋人(不倫相手)と再婚したい母に騙されて捨てられた12歳の少年。30歳の元兵士の男性との出会いで傷付いた心を癒してもらい、恋(主人公からの片思い)をする物語。
※序盤は主人公が悲しむシーンが多いです。
※主人公と相手が出会うまで、少しかかります(28話)
※BL的展開になるまでに、結構かかる予定です。主人公が恋心を自覚するようでしないのは51話くらい?
※女性は普通に登場しますが、他に明確な相手がいたり、恋愛目線で主人公たちを見ていない人ばかりです。
※同性愛者もいますが、異性愛が主流の世界です。なので主人公は、男なのに男を好きになる自分はおかしいのでは?と悩みます。
※主人公のお相手は、保護者として主人公を温かく見守り、支えたいと思っています。
紹介なんてされたくありません!
mahiro
BL
普通ならば「家族に紹介したい」と言われたら、嬉しいものなのだと思う。
けれど僕は男で目の前で平然と言ってのけたこの人物も男なわけで。
断りの言葉を言いかけた瞬間、来客を知らせるインターフォンが鳴り響き……?
転生場所は嫌われ所
あぎ
BL
会社員の千鶴(ちずる)は、今日も今日とて残業で、疲れていた
そんな時、男子高校生が、きらりと光る穴へ吸い込まれたのを見た。
※
※
最近かなり頻繁に起こる、これを皆『ホワイトルーム現象』と読んでいた。
とある解析者が、『ホワイトルーム現象が起きた時、その場にいると私たちの住む現実世界から望む仮想世界へ行くことが出来ます。』と、発表したが、それ以降、ホワイトルーム現象は起きなくなった
※
※
そんな中、千鶴が見たのは何年も前に消息したはずのホワイトルーム現象。可愛らしい男の子が吸い込まれていて。
彼を助けたら、解析者の言う通りの異世界で。
16:00更新
婚約破棄された悪役令息は従者に溺愛される
田中
BL
BLゲームの悪役令息であるリアン・ヒスコックに転生してしまった俺は、婚約者である第二王子から断罪されるのを待っていた!
なぜなら断罪が領地で療養という軽い処置だから。
婚約破棄をされたリアンは従者のテオと共に領地の屋敷で暮らすことになるが何気ないリアンの一言で、テオがリアンにぐいぐい迫ってきてーー?!
従者×悪役令息
悩める文官のひとりごと
きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。
そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。
エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。
ムーンライト様にも掲載しております。
今夜のご飯も一緒に食べよう~ある日突然やってきたヒゲの熊男はまさかのスパダリでした~
松本尚生
BL
瞬は失恋して職と住み処を失い、小さなワンルームから弁当屋のバイトに通っている。
ある日瞬が帰ると、「誠~~~!」と背後からヒゲの熊男が襲いかかる。「誠って誰!?」上がりこんだ熊は大量の食材を持っていた。瞬は困り果てながら調理する。瞬が「『誠さん』って恋人?」と尋ねると、彼はふふっと笑って瞬を抱きしめ――。
恋なんてコリゴリの瞬と、正体不明のスパダリ熊男=伸幸のお部屋グルメの顛末。
伸幸の持ちこむ謎の食材と、それらをテキパキとさばいていく瞬のかけ合いもお楽しみください。
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる