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1章
13話
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「随分と上手く弾くな」
扉が開いて違う声が聞こえたが、忘れることの無い低く穏やかな声だった。
「レイジュ…」
1日も忘れたことのない懐かしい声。
私は立ち上がると声のした方を向いた。
「ティア危ないから座ってくれ…キラ…」
「お茶をお持ちします」
向かいにいたキラが静かに離れていく。
「ティア、久しぶりだ…来てくれて嬉しい」
1歩ずつ近付いてくる靴音。
ふわりと香る華やかな香りは以前と違うものでたじろいだ。
「…レイジュ…ですか?香を変えたのですね…」
「あ、あぁ…そうか…」
「すみません、見えない分、匂いにも敏感なので…」
触れるぞと一言あってから触られた手と、座るようにと促される。
導かれるよう座ると、自分のすぐ横がゆっくりと沈んだ。
レイジュが座ったのだろう。半身に触れる体温が温かい。
繋いだままの手が、優しく握ったり離したりを繰り返し、そしてするりと指先が絡む。
何故か凄く恥ずかしいような気になり、俯き加減になっていると、キラがお茶を運んできた。
「こちらに。ティア様には新しい茶筒を用意しておりますので、こちらです」
「ありがとうキラ」
「キラ、下がっていい」
細やかな気配りをしてくれたキラが部屋を出ていく。
パタンと扉の音がした。
「遅くなって悪かった…朝の会議が長引いてなかなか抜けられなくてこんな時間になってしまって、許してくれ。」
レイジュの手が私の手を包んでいく。
逢いたかったが、自分から行ける訳ではない。
待つしかなくて、あの約束は守られないのかとも思わなかったわけじゃないけれど、こうして逢えたからもういい。
「逢えて良かった」
私は一生懸命笑みを浮かべた。
扉が開いて違う声が聞こえたが、忘れることの無い低く穏やかな声だった。
「レイジュ…」
1日も忘れたことのない懐かしい声。
私は立ち上がると声のした方を向いた。
「ティア危ないから座ってくれ…キラ…」
「お茶をお持ちします」
向かいにいたキラが静かに離れていく。
「ティア、久しぶりだ…来てくれて嬉しい」
1歩ずつ近付いてくる靴音。
ふわりと香る華やかな香りは以前と違うものでたじろいだ。
「…レイジュ…ですか?香を変えたのですね…」
「あ、あぁ…そうか…」
「すみません、見えない分、匂いにも敏感なので…」
触れるぞと一言あってから触られた手と、座るようにと促される。
導かれるよう座ると、自分のすぐ横がゆっくりと沈んだ。
レイジュが座ったのだろう。半身に触れる体温が温かい。
繋いだままの手が、優しく握ったり離したりを繰り返し、そしてするりと指先が絡む。
何故か凄く恥ずかしいような気になり、俯き加減になっていると、キラがお茶を運んできた。
「こちらに。ティア様には新しい茶筒を用意しておりますので、こちらです」
「ありがとうキラ」
「キラ、下がっていい」
細やかな気配りをしてくれたキラが部屋を出ていく。
パタンと扉の音がした。
「遅くなって悪かった…朝の会議が長引いてなかなか抜けられなくてこんな時間になってしまって、許してくれ。」
レイジュの手が私の手を包んでいく。
逢いたかったが、自分から行ける訳ではない。
待つしかなくて、あの約束は守られないのかとも思わなかったわけじゃないけれど、こうして逢えたからもういい。
「逢えて良かった」
私は一生懸命笑みを浮かべた。
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