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13 アイスクリームを食べる
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透明なガラスでできた器にドーム状に盛られた甘味。
俺が記憶にある情報だけで作ったアイスクリーム。
アルトリアの料理人と従者ズは優秀だね!
ファレナスでは、果物が豊富だったからシャーベットを良く作って貰った。
その作り方をアスランが取得していて、それを少し変更してミルクをベースに作って貰った。
「幸せ」
冷えたシルバーのスプーンを口に運ぶと、舌の上でさらりと溶ける。
吹き抜ける風を感じながら、自室の窓辺で眼下で煌めく温室の向こう、騎士団寮を見ながら笑みを浮かべた。
「今頃アイヴィス様達も食べているかな」
大量にできた試作品を騎士達にもお裾分けしつつ、自分も食べている。
どうやらシュクラも気に入ったようで、今度はシュクラの好きな果実でシャーベットを作ると約束してしまった。
今日は先日のダンスレッスンの対価でお休みを貰った。
飛竜騎士全員のダンス矯正をさせられたのだ。
後日、来賓を招き舞踏会を開くことをアイヴィスが決めたのだか、騎士の中にはダンスが不得手の者が多い。
身分は問わないが、飛竜に乗るための体力や技術を学ぶ反面、芸事を疎かにするのだ。
その矯正にセラフィリーアが駆り出された。
大概の騎士はセラフィリーアより大きいが、ここは男しかいない世界。
体の大きさで攻守は決められないのだ。
服団長や、各隊長達はどちらもできるように叩き込まれているが、それ以下の騎士達は…溜め息しか出ない。
ペアになる人に合わせて踊れないといけないため、屈強な騎士をセラフィリーアがリードすることもある。
わかっていて足を掛けようとした騎士には思い切り踏みつけることを躊躇わない。
1つの失敗がアイヴィス様の評価にも関わるのだから。
「さて、上手く出来た人からアイスクリームを配るように伝えたけれど、どうかな?」
クスクスと忍び笑いが漏れる。
半分の人数がソフトクリームを食べられれはいいだろう。
そう考えながらもう一口口にして居ると、扉にノックがありゆっくりと開いた。
「アイヴィス様、どうしたのですか?」
立ち上がって駆け寄ると、ふわりと抱き上げられる。
「昨日は大変だったようだな…すまない」
アイヴィスもあまりダンスは得意でない。
陛下として最大限のステップは踏むが、できるだけ逃げようとするのは、皇后にと、子供を送り込んでくる家臣のやり方に辟易しており、セラフィリーアとのダンスだけは億劫がらずにするのだが、一人だけを優遇できないため逃げたいのだ。
早く皇后にと言われているが、セラフィリーアはもう少し時間が欲しい。
「構いません、今日お休みを頂きましたし…お陰で作りたかったアイスクリームも作れました、アイヴィス様も食べましたか?」
ちらりとまだ食べかけのアイスクリームを見ると、アイヴィスは察したように窓際のテーブルに近付いて下ろしてくれた。
「あぁ、私もいただいたよ。セラの肌みたいな滑らかさだった」
甘い言葉を紡ぐ恋人に、ほんのり頬を染めながらアイスクリームを口に含むと、その顔をぐいっと引き寄せて口吻ける。
舌先に乗せたアイスクリームを押し込んでから舌を絡めとり唇を離す。
「もう、どっちが滑らかかわかります?」
アイスクリームと比べないで欲しいと唇をわざと尖らせて見せるセラフィリーアにアイヴィスか軽くキスを続ける。
「今日は執務を終わらせて早く確認しに来てくださいね?」
ふわりと暖かい日差しを受けながら二人は甘いバニラの香りが残るキスを交わした。
俺が記憶にある情報だけで作ったアイスクリーム。
アルトリアの料理人と従者ズは優秀だね!
ファレナスでは、果物が豊富だったからシャーベットを良く作って貰った。
その作り方をアスランが取得していて、それを少し変更してミルクをベースに作って貰った。
「幸せ」
冷えたシルバーのスプーンを口に運ぶと、舌の上でさらりと溶ける。
吹き抜ける風を感じながら、自室の窓辺で眼下で煌めく温室の向こう、騎士団寮を見ながら笑みを浮かべた。
「今頃アイヴィス様達も食べているかな」
大量にできた試作品を騎士達にもお裾分けしつつ、自分も食べている。
どうやらシュクラも気に入ったようで、今度はシュクラの好きな果実でシャーベットを作ると約束してしまった。
今日は先日のダンスレッスンの対価でお休みを貰った。
飛竜騎士全員のダンス矯正をさせられたのだ。
後日、来賓を招き舞踏会を開くことをアイヴィスが決めたのだか、騎士の中にはダンスが不得手の者が多い。
身分は問わないが、飛竜に乗るための体力や技術を学ぶ反面、芸事を疎かにするのだ。
その矯正にセラフィリーアが駆り出された。
大概の騎士はセラフィリーアより大きいが、ここは男しかいない世界。
体の大きさで攻守は決められないのだ。
服団長や、各隊長達はどちらもできるように叩き込まれているが、それ以下の騎士達は…溜め息しか出ない。
ペアになる人に合わせて踊れないといけないため、屈強な騎士をセラフィリーアがリードすることもある。
わかっていて足を掛けようとした騎士には思い切り踏みつけることを躊躇わない。
1つの失敗がアイヴィス様の評価にも関わるのだから。
「さて、上手く出来た人からアイスクリームを配るように伝えたけれど、どうかな?」
クスクスと忍び笑いが漏れる。
半分の人数がソフトクリームを食べられれはいいだろう。
そう考えながらもう一口口にして居ると、扉にノックがありゆっくりと開いた。
「アイヴィス様、どうしたのですか?」
立ち上がって駆け寄ると、ふわりと抱き上げられる。
「昨日は大変だったようだな…すまない」
アイヴィスもあまりダンスは得意でない。
陛下として最大限のステップは踏むが、できるだけ逃げようとするのは、皇后にと、子供を送り込んでくる家臣のやり方に辟易しており、セラフィリーアとのダンスだけは億劫がらずにするのだが、一人だけを優遇できないため逃げたいのだ。
早く皇后にと言われているが、セラフィリーアはもう少し時間が欲しい。
「構いません、今日お休みを頂きましたし…お陰で作りたかったアイスクリームも作れました、アイヴィス様も食べましたか?」
ちらりとまだ食べかけのアイスクリームを見ると、アイヴィスは察したように窓際のテーブルに近付いて下ろしてくれた。
「あぁ、私もいただいたよ。セラの肌みたいな滑らかさだった」
甘い言葉を紡ぐ恋人に、ほんのり頬を染めながらアイスクリームを口に含むと、その顔をぐいっと引き寄せて口吻ける。
舌先に乗せたアイスクリームを押し込んでから舌を絡めとり唇を離す。
「もう、どっちが滑らかかわかります?」
アイスクリームと比べないで欲しいと唇をわざと尖らせて見せるセラフィリーアにアイヴィスか軽くキスを続ける。
「今日は執務を終わらせて早く確認しに来てくださいね?」
ふわりと暖かい日差しを受けながら二人は甘いバニラの香りが残るキスを交わした。
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