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10 獣耳
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「アイ…ヴィス様?」
何それ。
アイヴィスの端整な顔立ちは変わらないのだが…
何故かその頭の上。
本来何も無い筈の所にちょこんと黒い猫耳が鎮座していた。
「か、可愛い」
セラフィリーアが呟くとピクッと動くそれは作り物には見えなかった。
「どうなされたのですか?」
「わからぬ…起きたらこうなっていたのだが…」
「触ってもよろしいですか?」
セラフィリーアの手が触りたそうに動いている。
「少しだけならな?」
ふにっとセラフィリーアが耳に触れる。
くすぐったさでビビビッと耳が震えた。
「今日は身体が慣れないから、宰相に公務を最低限にしてもらったから、セラと一緒にいられるんだ」
幸せそうに笑うアイヴィスの耳を堪能しながら、ふと背中側で揺れる同じ色の尻尾に気付く。
たしったしっと執務室の椅子を叩くそれはすらりと長く綺麗な尻尾。
「はい、今日は誰にも見つからないように部屋にいましょう?
これを知っているのは誰ですか?」
「ハワードと、今日の担当侍従二人、宰相とネイトくらいか?場合によってはルシウスとカラクもな」
そのくらいだろうとアイヴィスが数えると、いつものメンバーですねとセラフィリーアが笑う。
なんだかんだでお世話になるひとは決まっているのだ。
「なら、せっかくアイヴィス様がにゃんこになったなら、暖かい場所でゆっくりのんびりしましょうか。
アイヴィス様の部屋でいいですか?ハワードに飲み物を持ってきて貰いましょう」
チリンとベルを鳴らすと、控えていたハワードが顔を出す。
いつ見ても穏やかそうなイケメンだと思いながらも、部屋に戻ることと、飲み物を頼み、場合によっては温めのものになるかもしれないとお願いをした。
味覚が猫になっているかはわからないが、普段のアイヴィスは猫舌ではなかった筈だ。
ハワードが下がると、セラフィリーアはアイヴィスの手を取り執務室を出る。
あまり離れてはいないが、誰かに見られたらきっと困るだろう。そう思いながら少し早足で部屋に向かい、アイヴィスを寝室に向かわせる。
そして、耳を赤く染めながらセラフィリーアは入口の造花を水色の物に変えた。
これは、侍従や近しい人達への合図。
在室中、執務室など、アイヴィスの場所を簡単に伝えるためのもの。
そして、セラフィリーアが選んだ水色は
寝室、誰も近寄ることなかれ。
例外でハワードのみだけは許すけれど、副団長ですら近付くなというサイン。
もちろん理由は
『いたしています』
『只今、絶賛交わり中』
以前にイチャイチャしていたときにルシウスに踏み込まれて、そこから1ヶ月セラフィリーアはアイヴィスを拒んだため、苦肉の策で新しく始めたことなのだった。
まぁ、これが侍従だったら見て見ぬふりだが、この事でルシウスが軽くセラフィリーアをからかったからで。
ルシウスはアイヴィスに夜が解禁になるまではかなり苛められたようだけれど、セラフィリーアの知ったことではない。
「緊急事態だし…仕方ないよね」
探されても困るし、急に入ってこられても困るからと、理由をつけながら、セラフィリーアも扉を潜った。
「セラ、ハワードが用意してくれたぞ?」
甘くないミルクティにガレット等の焼き菓子が並べられている。
ハワードの姿は既に無く、ティーカップからはまだ湯気が上がっていた。
「お待たせしましたアイヴィスお隣よろしいですか?」
最初は向かい合うようになっていた椅子が、いつの間にか並んで座れるソファーになっていて、アイヴィスの隣が定位置になっている。
アイヴィスの私室にはセラフィリーア以外はほとんど入らないからだ。
そっとアイヴィスの隣に座ると、その長い尻尾が腰に回される。
その尻尾の先がたしったしっと動いていた。
「アイヴィス様、熱くはありませんか?」
ぬるめの紅茶を口にすると、大丈夫だろうかとちらりと見上げると、アイヴィスは美味しそうにミルクティを飲んでいる。
「んんっ…セラ?」
カチャリとアイヴィスがティーカップをソーサーに戻すと尻尾が巻き付けられた辺りに腕が回され撫で上げられた。
「尻尾はダメだ…気持ちよくなってしまう」
そっとその手触りを楽しんでいたのがいけなかったみたいだ。
いつも以上に雄々しく強引に見えるのは…猫のせい?
ティーカップを取り上げられると、そのまま軟らかなソファーに押し倒された。
「すまない、我慢がきかない」
首筋に噛みつかれるようにキスをされる。
それが気持ちよくてアイヴィスの頭を抱き締める。
「構いません…時間はありますから」
こうなることを予測しなかったとは言えない。
噛みつくようなキスを受け入れながらセラフィリーアはペロリと唇を舐めた。
何それ。
アイヴィスの端整な顔立ちは変わらないのだが…
何故かその頭の上。
本来何も無い筈の所にちょこんと黒い猫耳が鎮座していた。
「か、可愛い」
セラフィリーアが呟くとピクッと動くそれは作り物には見えなかった。
「どうなされたのですか?」
「わからぬ…起きたらこうなっていたのだが…」
「触ってもよろしいですか?」
セラフィリーアの手が触りたそうに動いている。
「少しだけならな?」
ふにっとセラフィリーアが耳に触れる。
くすぐったさでビビビッと耳が震えた。
「今日は身体が慣れないから、宰相に公務を最低限にしてもらったから、セラと一緒にいられるんだ」
幸せそうに笑うアイヴィスの耳を堪能しながら、ふと背中側で揺れる同じ色の尻尾に気付く。
たしったしっと執務室の椅子を叩くそれはすらりと長く綺麗な尻尾。
「はい、今日は誰にも見つからないように部屋にいましょう?
これを知っているのは誰ですか?」
「ハワードと、今日の担当侍従二人、宰相とネイトくらいか?場合によってはルシウスとカラクもな」
そのくらいだろうとアイヴィスが数えると、いつものメンバーですねとセラフィリーアが笑う。
なんだかんだでお世話になるひとは決まっているのだ。
「なら、せっかくアイヴィス様がにゃんこになったなら、暖かい場所でゆっくりのんびりしましょうか。
アイヴィス様の部屋でいいですか?ハワードに飲み物を持ってきて貰いましょう」
チリンとベルを鳴らすと、控えていたハワードが顔を出す。
いつ見ても穏やかそうなイケメンだと思いながらも、部屋に戻ることと、飲み物を頼み、場合によっては温めのものになるかもしれないとお願いをした。
味覚が猫になっているかはわからないが、普段のアイヴィスは猫舌ではなかった筈だ。
ハワードが下がると、セラフィリーアはアイヴィスの手を取り執務室を出る。
あまり離れてはいないが、誰かに見られたらきっと困るだろう。そう思いながら少し早足で部屋に向かい、アイヴィスを寝室に向かわせる。
そして、耳を赤く染めながらセラフィリーアは入口の造花を水色の物に変えた。
これは、侍従や近しい人達への合図。
在室中、執務室など、アイヴィスの場所を簡単に伝えるためのもの。
そして、セラフィリーアが選んだ水色は
寝室、誰も近寄ることなかれ。
例外でハワードのみだけは許すけれど、副団長ですら近付くなというサイン。
もちろん理由は
『いたしています』
『只今、絶賛交わり中』
以前にイチャイチャしていたときにルシウスに踏み込まれて、そこから1ヶ月セラフィリーアはアイヴィスを拒んだため、苦肉の策で新しく始めたことなのだった。
まぁ、これが侍従だったら見て見ぬふりだが、この事でルシウスが軽くセラフィリーアをからかったからで。
ルシウスはアイヴィスに夜が解禁になるまではかなり苛められたようだけれど、セラフィリーアの知ったことではない。
「緊急事態だし…仕方ないよね」
探されても困るし、急に入ってこられても困るからと、理由をつけながら、セラフィリーアも扉を潜った。
「セラ、ハワードが用意してくれたぞ?」
甘くないミルクティにガレット等の焼き菓子が並べられている。
ハワードの姿は既に無く、ティーカップからはまだ湯気が上がっていた。
「お待たせしましたアイヴィスお隣よろしいですか?」
最初は向かい合うようになっていた椅子が、いつの間にか並んで座れるソファーになっていて、アイヴィスの隣が定位置になっている。
アイヴィスの私室にはセラフィリーア以外はほとんど入らないからだ。
そっとアイヴィスの隣に座ると、その長い尻尾が腰に回される。
その尻尾の先がたしったしっと動いていた。
「アイヴィス様、熱くはありませんか?」
ぬるめの紅茶を口にすると、大丈夫だろうかとちらりと見上げると、アイヴィスは美味しそうにミルクティを飲んでいる。
「んんっ…セラ?」
カチャリとアイヴィスがティーカップをソーサーに戻すと尻尾が巻き付けられた辺りに腕が回され撫で上げられた。
「尻尾はダメだ…気持ちよくなってしまう」
そっとその手触りを楽しんでいたのがいけなかったみたいだ。
いつも以上に雄々しく強引に見えるのは…猫のせい?
ティーカップを取り上げられると、そのまま軟らかなソファーに押し倒された。
「すまない、我慢がきかない」
首筋に噛みつかれるようにキスをされる。
それが気持ちよくてアイヴィスの頭を抱き締める。
「構いません…時間はありますから」
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噛みつくようなキスを受け入れながらセラフィリーアはペロリと唇を舐めた。
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