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「アイヴィス様…重くありませんか?」
薄布1枚を身に纏っただけのあられもない姿で横抱きに抱かれている。
所謂、お姫様抱っこだ。
「問題ないが?」
うん。軽くはないだろうけどさ、一応騎士として筋肉ついてきたところだし。
それでもアイヴィス様の腕とかと比べたくないけど。
「もう…逃げませんって…」
苦笑しながらその首に腕を回す。
抱かれながら唇にキスをするだけでアイヴィスの機嫌は目に見えて良くなった。
もう、厳禁なんだから。
「私、熱いの苦手でゆっくり入るのが好きですし…その、お風呂だと声が…」
そう。
運ばれているのは寝室脇にある広い湯殿。
脱衣場を通り抜けてその先にある湯殿はセラフィリーアが風呂好きと言うのもあって、広い湯槽を床に埋め込んだものだ。
風呂を作る構造上、夫婦の寝室も1階に作り直したと言うのだから…。
原因は、あまりにも気持ちよくてうたた寝をし、風邪をひいたセラフィリーアが悪いのだが。
「わかっている。だからぬるめにしてあるから」
何がわかっているのかはいまいち不明だけど。
絶対これ、イチャイチャモードだよね。
扉から中に入ると、ふわりと湯船から湯気が上がっている。
抱き締められたまま、ゆっくりとアイヴィスが湯船に入っていくと、二人分のお湯が惜し気もなく溢れた。
アルトリアでは薄布を纏って入ってもいいらしい。
ただし、紐を解けば直ぐに脱げるものならという但し書きがあるが。
常に全裸で入るのが普通だったファレナスの風習のまま初めてアイヴィスと一緒に入ったときに驚いた。
ちなみに、今回のアイヴィスは全裸だが。
彫刻のような美しいバランスのアイヴィスの裸体は隠さないのが一番綺麗だけど…アイヴィスが翌日に湯船に入る用の薄布を贈ってくれたときは、顔から火が出そうなくらい恥ずかしかったんだ。
「んっ…いいお湯」
少し温いくらいの熱さを感じながら、アイヴィスに離して貰おうと見上げると、にっこりと笑みが返ってくる。
うん?離す気無いよね。
「アイヴィスさま…あの?」
湯に浸かった瞬間からアイヴィスの手が身体を撫でていく。
向かい合うように膝に座らされてしまうと、丁度胸が湯の表面から少し出る。
張り付いた布が少し尖った突起を表す。
「み、見ないで…くださ…」
自分だけこんなになってしまっているのだと、見られたくなくてアイヴィスにぎゅっと抱き付いた。
距離が近ければ見えないだろう。
そんな浅はかな考えを読んでいたのか、アイヴィスの唇が首筋を這う。
「あっ…やぁっ…」
くすぐったさに身悶えるとセラフィリーアはいっそう強く抱き付くのだった。
薄布1枚を身に纏っただけのあられもない姿で横抱きに抱かれている。
所謂、お姫様抱っこだ。
「問題ないが?」
うん。軽くはないだろうけどさ、一応騎士として筋肉ついてきたところだし。
それでもアイヴィス様の腕とかと比べたくないけど。
「もう…逃げませんって…」
苦笑しながらその首に腕を回す。
抱かれながら唇にキスをするだけでアイヴィスの機嫌は目に見えて良くなった。
もう、厳禁なんだから。
「私、熱いの苦手でゆっくり入るのが好きですし…その、お風呂だと声が…」
そう。
運ばれているのは寝室脇にある広い湯殿。
脱衣場を通り抜けてその先にある湯殿はセラフィリーアが風呂好きと言うのもあって、広い湯槽を床に埋め込んだものだ。
風呂を作る構造上、夫婦の寝室も1階に作り直したと言うのだから…。
原因は、あまりにも気持ちよくてうたた寝をし、風邪をひいたセラフィリーアが悪いのだが。
「わかっている。だからぬるめにしてあるから」
何がわかっているのかはいまいち不明だけど。
絶対これ、イチャイチャモードだよね。
扉から中に入ると、ふわりと湯船から湯気が上がっている。
抱き締められたまま、ゆっくりとアイヴィスが湯船に入っていくと、二人分のお湯が惜し気もなく溢れた。
アルトリアでは薄布を纏って入ってもいいらしい。
ただし、紐を解けば直ぐに脱げるものならという但し書きがあるが。
常に全裸で入るのが普通だったファレナスの風習のまま初めてアイヴィスと一緒に入ったときに驚いた。
ちなみに、今回のアイヴィスは全裸だが。
彫刻のような美しいバランスのアイヴィスの裸体は隠さないのが一番綺麗だけど…アイヴィスが翌日に湯船に入る用の薄布を贈ってくれたときは、顔から火が出そうなくらい恥ずかしかったんだ。
「んっ…いいお湯」
少し温いくらいの熱さを感じながら、アイヴィスに離して貰おうと見上げると、にっこりと笑みが返ってくる。
うん?離す気無いよね。
「アイヴィスさま…あの?」
湯に浸かった瞬間からアイヴィスの手が身体を撫でていく。
向かい合うように膝に座らされてしまうと、丁度胸が湯の表面から少し出る。
張り付いた布が少し尖った突起を表す。
「み、見ないで…くださ…」
自分だけこんなになってしまっているのだと、見られたくなくてアイヴィスにぎゅっと抱き付いた。
距離が近ければ見えないだろう。
そんな浅はかな考えを読んでいたのか、アイヴィスの唇が首筋を這う。
「あっ…やぁっ…」
くすぐったさに身悶えるとセラフィリーアはいっそう強く抱き付くのだった。
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