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5章

3話

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「流石に……ちょっとキツいわねぇ」
レイモンドは机に伏して息を吐く。
此処数日体調が悪いのは理由はわかっている。
味覚にも変化があるのだ。
「気の所為なら良いのだけれど」
何度も何度も文献を読み直した。
自分の症状と当てはまらないのは性別だけ。
全てが文献の通りにはならないとわかっているものの、ここまで同じだと逆に不安にもなる。 
「何が気の所為なんだ?」
頭上から降ってきた声に、レイモンドはヒラヒラと手を振ることで答えた。
「色々とね~あるのよ、と言うかムサファ、ちゃんとノックをしろって何回言ったらわかるのかしら?」
聞き慣れた声。
「伝書鳩やってやってんだ、ほら」
目の前に差し出された封筒。
宛先は自分。
ただ、差出人は書かれていない。
「あ~ありがと、やっと来たわぁ……お待ちかねよ」
レイモンドは身体を起こして封筒を受け取った。
「俺も預かっただけだし、差出人は書かれていねぇけど?」
「えぇ、この癖のある文字で誰かはわかっているのよ……ありがと、ついでにその手にある大量の書類も置いていっていいわよ?本当はやりたくないけれど仕方ないわね」
「珍しいな、レイモンド小隊長」
「今更喋り方は変えなくていいわよォ?アタシもそうだしね?」
流石に上司に対しては言葉遣いを変えるが、ずっと一緒にいたからくすぐったい。
「そうか?」
「ムサファ、お茶でも飲んでく?」
「あぁ、貰うか。アイツは?」
「今は座学ね。もう騎士だものやる事がたくさんよ」
そうかと頷くムサファに、座るよう促して立ち上がるとお茶をいれるのにレイモンドは立ち上がった次の瞬間、ふらっと目眩を起こした。
「おいっ!」
「大丈夫よ、悪いわね……少し待って……」
ムサファに腕を掴まれ、レイモンドは大丈夫とゆっくり立ち上がろうとしてムサファに引き寄せられそのままソファーに横たえられた。
「お前、何か病気か?隠してねぇか?」
「病気じゃないわよ……大丈夫。ちょっと減量しなきゃって食事減らしたら駄目みたい。食事量戻せってニコルにも言われたから気をつけるようにしたわよ」
「嘘だな、お前……俺を騙せると思うな?」
レイモンドは、そのムサファの真剣な表情に息を飲む。
「少しだけ、体調が悪いのよ……そのうち軍医に診てもらうから心配しないで」
そう告げてから、軍医に相談をすればいい。
「軍医を呼んでくるか?」
「手が空いたらこちらから行くわよ……だから、連絡だけお願いしていいかしら?」
ムサファは頷くと、行ってくると脱いだ上着を掛けてくれ部屋を出ていった。
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