44 / 62
4章覚醒
1話
しおりを挟む
「もう!信じられないわ、ニコル貴方ねぇ!」
レイモンドは珍しく声を荒らげていた。
目の前にはニコルが身体を小さくし正座をしているが、滾々とする説教もニコルの表情は何処吹く風。
「聞いているの!?」
レイモンドは、怒りながらもどうしていいかわからなかったのは昨夜の事を思い出すからだ。
酒を飲んだと言っても本当に口を付ける程度。
「今日、貴方は騎士団の座学はいいから、絶対に属性を確認してきなさい。証明を提出すること。それをしなければ同室は解消して絶対にこの部屋に入れないわ」
座っているニコルに対して腰を屈めてビシッとニコルの鼻先に指を当てた。
「いいこと?返事!」
「はいっ!」
「……終わったことは仕方ないけれど……」
あの感覚は身震いする程だった。
「話はそれからだわ……もう、信じられない」
レイモンドは、大きな溜息を吐くと、信じられないのは自分よねと肩を竦めて見せてから震える膝を軽く叩いてから腰を伸ばす。
「とりあえず着替えていらっしゃい、朝食にしましょ?と言うかニコルこのチョーカーを外しなさいよ、アタシじゃ外れないわ」
起きてから何をしても外れなかったチョーカー。
それもそうだろう、魔石のしっかりついた物なのだ。
登録した人間以外が外せない、花街等で良く使われるものだった。
「嫌です……レイモンド様が俺の物だと示したいです」
「 だから、そういう事は恋人にしなさいって」
「恋人にしてくださいレイモンド様!」
まるで子犬のような表情で、その背中には揺れるしっぽが見えた気がした。
「貴方が立派な騎士になったら考えてもいいわ」
「本当ですか!」
ニコルの思っていたよりも大きな声にしまったと思うも後の祭り。
「……嬉しいです、レイモンド様」
「人前ではベタベタするのはナシよ、今までは従者として許していたけれどこれからは従者である前に騎士なの。騎士の事ができなければ従者を外すから覚悟しておきなさい。それと……」
レイモンドは言い淀んでから深く息を吸うと軽く吐き出した。
「昨夜のような事は許さないわ、意味がわかるわよね?」
できれば口にはしたくはなかったが、レイモンドはニコルの目を見て告げる。
「同意の無い行為は犯罪なのよ……どうしてあんな事ができたのかはわからないけれど……それについては重々反省なさい。じゃあ着替えて食事に行くわよ」
レイモンドはシャツを着替えてレイモンドを連れて食堂へ向かった。
食堂に入るとざわざわと騎士たちがざわめいたのを聞いてレイモンドはチョーカーに触れて苦笑した。
レイモンドは珍しく声を荒らげていた。
目の前にはニコルが身体を小さくし正座をしているが、滾々とする説教もニコルの表情は何処吹く風。
「聞いているの!?」
レイモンドは、怒りながらもどうしていいかわからなかったのは昨夜の事を思い出すからだ。
酒を飲んだと言っても本当に口を付ける程度。
「今日、貴方は騎士団の座学はいいから、絶対に属性を確認してきなさい。証明を提出すること。それをしなければ同室は解消して絶対にこの部屋に入れないわ」
座っているニコルに対して腰を屈めてビシッとニコルの鼻先に指を当てた。
「いいこと?返事!」
「はいっ!」
「……終わったことは仕方ないけれど……」
あの感覚は身震いする程だった。
「話はそれからだわ……もう、信じられない」
レイモンドは、大きな溜息を吐くと、信じられないのは自分よねと肩を竦めて見せてから震える膝を軽く叩いてから腰を伸ばす。
「とりあえず着替えていらっしゃい、朝食にしましょ?と言うかニコルこのチョーカーを外しなさいよ、アタシじゃ外れないわ」
起きてから何をしても外れなかったチョーカー。
それもそうだろう、魔石のしっかりついた物なのだ。
登録した人間以外が外せない、花街等で良く使われるものだった。
「嫌です……レイモンド様が俺の物だと示したいです」
「 だから、そういう事は恋人にしなさいって」
「恋人にしてくださいレイモンド様!」
まるで子犬のような表情で、その背中には揺れるしっぽが見えた気がした。
「貴方が立派な騎士になったら考えてもいいわ」
「本当ですか!」
ニコルの思っていたよりも大きな声にしまったと思うも後の祭り。
「……嬉しいです、レイモンド様」
「人前ではベタベタするのはナシよ、今までは従者として許していたけれどこれからは従者である前に騎士なの。騎士の事ができなければ従者を外すから覚悟しておきなさい。それと……」
レイモンドは言い淀んでから深く息を吸うと軽く吐き出した。
「昨夜のような事は許さないわ、意味がわかるわよね?」
できれば口にはしたくはなかったが、レイモンドはニコルの目を見て告げる。
「同意の無い行為は犯罪なのよ……どうしてあんな事ができたのかはわからないけれど……それについては重々反省なさい。じゃあ着替えて食事に行くわよ」
レイモンドはシャツを着替えてレイモンドを連れて食堂へ向かった。
食堂に入るとざわざわと騎士たちがざわめいたのを聞いてレイモンドはチョーカーに触れて苦笑した。
42
お気に入りに追加
102
あなたにおすすめの小説
狂わせたのは君なのに
白兪
BL
ガベラは10歳の時に前世の記憶を思い出した。ここはゲームの世界で自分は悪役令息だということを。ゲームではガベラは主人公ランを悪漢を雇って襲わせ、そして断罪される。しかし、ガベラはそんなこと望んでいないし、罰せられるのも嫌である。なんとかしてこの運命を変えたい。その行動が彼を狂わすことになるとは知らずに。
完結保証
番外編あり
僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました
楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたアルフォン伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。
ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。
喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。
「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」
契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。
アルフォンのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。
断罪は決定済みのようなので、好きにやろうと思います。
小鷹けい
BL
王子×悪役令息が書きたくなって、見切り発車で書き始めました。
オリジナルBL初心者です。生温かい目で見ていただけますとありがたく存じます。
自分が『悪役令息』と呼ばれる存在だと気付いている主人公と、面倒くさい性格の王子と、過保護な兄がいます。
ヒロイン(♂)役はいますが、あくまで王子×悪役令息ものです。
最終的に執着溺愛に持って行けるようにしたいと思っております。
※第一王子の名前をレオンにするかラインにするかで迷ってた当時の痕跡があったため、気付いた箇所は修正しました。正しくはレオンハルトのところ、まだラインハルト表記になっている箇所があるかもしれません。
気付いたら囲われていたという話
空兎
BL
文武両道、才色兼備な俺の兄は意地悪だ。小さい頃から色んな物を取られたし最近だと好きな女の子まで取られるようになった。おかげで俺はぼっちですよ、ちくしょう。だけども俺は諦めないからな!俺のこと好きになってくれる可愛い女の子見つけて絶対に幸せになってやる!
※無自覚囲い込み系兄×恋に恋する弟の話です。
巻き込まれ異世界転移者(俺)は、村人Aなので探さないで下さい。
はちのす
BL
異世界転移に巻き込まれた憐れな俺。
騎士団や勇者に見つからないよう、村人Aとしてスローライフを謳歌してやるんだからな!!
***********
異世界からの転移者を血眼になって探す人達と、ヒラリヒラリと躱す村人A(俺)の日常。
イケメン(複数)×平凡?
全年齢対象、すごく健全
逆ざまぁされ要員な僕でもいつか平穏に暮らせますか?
左側
BL
陽の光を浴びて桃色に輝く柔らかな髪。鮮やかな青色の瞳で、ちょっと童顔。
それが僕。
この世界が乙女ゲームやBLゲームだったら、きっと主人公だよね。
だけど、ここは……ざまぁ系のノベルゲーム世界。それも、逆ざまぁ。
僕は断罪される側だ。
まるで物語の主人公のように振る舞って、王子を始めとした大勢の男性をたぶらかして好き放題した挙句に、最後は大逆転される……いわゆる、逆ざまぁをされる側。
途中の役割や展開は違っても、最終的に僕が立つサイドはいつも同じ。
神様、どうやったら、僕は平穏に過ごせますか?
※ ※ ※ ※ ※ ※
ちょっと不憫系の主人公が、抵抗したり挫けたりを繰り返しながら、いつかは平穏に暮らせることを目指す物語です。
男性妊娠の描写があります。
誤字脱字等があればお知らせください。
必要なタグがあれば付け足して行きます。
総文字数が多くなったので短編→長編に変更しました。
貧乏Ωの憧れの人
ゆあ
BL
妊娠・出産に特化したΩの男性である大学1年の幸太には耐えられないほどの発情期が周期的に訪れる。そんな彼を救ってくれたのは生物的にも社会的にも恵まれたαである拓也だった。定期的に体の関係をもつようになった2人だが、なんと幸太は妊娠してしまう。中絶するには番の同意書と10万円が必要だが、貧乏学生であり、拓也の番になる気がない彼にはどちらの選択もハードルが高すぎて……。すれ違い拗らせオメガバースBL。
エブリスタにて紹介して頂いた時に書いて貰ったもの
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる