39 / 78
3章 騎士
9話
しおりを挟む
「お待たせしました、レイモンド様」
ニコルが出てくると、レイモンドは顔を上げた。
「あら、さっきのと違うじゃない」
ニコルの首を見て、レイモンドは首を傾げる。ニコルの首には先程選んだ白いチョーカーではなく、黒地に紫の石の付いたチョーカーをしていたのだ。
「当ててみたら、こちらの方が似合うかなと」
「そうね、ニコルはどちらも似合うわよ?まだ早いけど、どこかで食事して帰りましょうか?それともお酒を買って帰る?ニコルがアタシの隊に来ると思っていなかったから、お祝いを用意して無かったのよ。だから、お祝いさせて頂戴」
ニコルとすれば、色々な物を買い与えられ、これ以上何をくれると言うのだろうかとレイモンドを見たが、レイモンドはそれに気付かない。
愛馬の手綱を手にして、少し歩きましょと促されてニコルはレイモンドの隣をゆっくり歩く。
「お酒、アタシは本当に少ししか飲めないけれど成人したら生まれた年のお酒を家族が開けて飲むって言うのがある所もあるのよ。成人の時はまだ見習いだったから飲めなかったけれど、騎士に正式になったのだから今日が成人よね。でも、無理に飲まなくても良いのよ?」
「レイモンド様、気遣われなくて大丈夫です、酒は極寒の中で暖を取るのに飲みましたから」
そう言うニコルの言葉にレイモンドは目を伏せる。
「ごめんなさい」
「いえ、なので酒を美味しいと思ったことが今までなく、レイモンド様が教えていただけますか?」
「アタシね、ムサファに止められてるのよ。酒癖が悪いから外で飲むなって」
歩きながらレイモンドは苦笑した。
初給料の時に、酒場に繰り出した同期達。
レイモンドもその輪の中に入れてもらい酒場でグラスに酒を注ぎ乾杯をして少ししたら意識を失った。
目が覚めた時には花街の一室で、致したであろう姿の自分だけが眠っており支払いが目が飛び出るくらいの金額を請求された。
だから、あの時からもう酒は飲まないと決めていたが、愛弟子の成人だから一緒に祝いたい。
「だから、一緒に飲むなら自分の部屋がいいんじゃない?」
「そう、ですね。僕の部屋なら大丈夫かと」
ニコルはそう提案をすると、酒屋を目指したのだった
ニコルが出てくると、レイモンドは顔を上げた。
「あら、さっきのと違うじゃない」
ニコルの首を見て、レイモンドは首を傾げる。ニコルの首には先程選んだ白いチョーカーではなく、黒地に紫の石の付いたチョーカーをしていたのだ。
「当ててみたら、こちらの方が似合うかなと」
「そうね、ニコルはどちらも似合うわよ?まだ早いけど、どこかで食事して帰りましょうか?それともお酒を買って帰る?ニコルがアタシの隊に来ると思っていなかったから、お祝いを用意して無かったのよ。だから、お祝いさせて頂戴」
ニコルとすれば、色々な物を買い与えられ、これ以上何をくれると言うのだろうかとレイモンドを見たが、レイモンドはそれに気付かない。
愛馬の手綱を手にして、少し歩きましょと促されてニコルはレイモンドの隣をゆっくり歩く。
「お酒、アタシは本当に少ししか飲めないけれど成人したら生まれた年のお酒を家族が開けて飲むって言うのがある所もあるのよ。成人の時はまだ見習いだったから飲めなかったけれど、騎士に正式になったのだから今日が成人よね。でも、無理に飲まなくても良いのよ?」
「レイモンド様、気遣われなくて大丈夫です、酒は極寒の中で暖を取るのに飲みましたから」
そう言うニコルの言葉にレイモンドは目を伏せる。
「ごめんなさい」
「いえ、なので酒を美味しいと思ったことが今までなく、レイモンド様が教えていただけますか?」
「アタシね、ムサファに止められてるのよ。酒癖が悪いから外で飲むなって」
歩きながらレイモンドは苦笑した。
初給料の時に、酒場に繰り出した同期達。
レイモンドもその輪の中に入れてもらい酒場でグラスに酒を注ぎ乾杯をして少ししたら意識を失った。
目が覚めた時には花街の一室で、致したであろう姿の自分だけが眠っており支払いが目が飛び出るくらいの金額を請求された。
だから、あの時からもう酒は飲まないと決めていたが、愛弟子の成人だから一緒に祝いたい。
「だから、一緒に飲むなら自分の部屋がいいんじゃない?」
「そう、ですね。僕の部屋なら大丈夫かと」
ニコルはそう提案をすると、酒屋を目指したのだった
55
お気に入りに追加
111
あなたにおすすめの小説
若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!
古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。
そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は?
*カクヨム様で先行掲載しております
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
拝啓お父様。私は野良魔王を拾いました。ちゃんとお世話するので飼ってよいでしょうか?
ミクリ21
BL
ある日、ルーゼンは野良魔王を拾った。
ルーゼンはある理由から、領地で家族とは離れて暮らしているのだ。
そして、父親に手紙で野良魔王を飼っていいかを伺うのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
実はαだった俺、逃げることにした。
るるらら
BL
俺はアルディウス。とある貴族の生まれだが今は冒険者として悠々自適に暮らす26歳!
実は俺には秘密があって、前世の記憶があるんだ。日本という島国で暮らす一般人(サラリーマン)だったよな。事故で死んでしまったけど、今は転生して自由気ままに生きている。
一人で生きるようになって数十年。過去の人間達とはすっかり縁も切れてこのまま独身を貫いて生きていくんだろうなと思っていた矢先、事件が起きたんだ!
前世持ち特級Sランク冒険者(α)とヤンデレストーカー化した幼馴染(α→Ω)の追いかけっ子ラブ?ストーリー。
!注意!
初のオメガバース作品。
ゆるゆる設定です。運命の番はおとぎ話のようなもので主人公が暮らす時代には存在しないとされています。
バースが突然変異した設定ですので、無理だと思われたらスッとページを閉じましょう。
!ごめんなさい!
幼馴染だった王子様の嘆き3 の前に
復活した俺に不穏な影1 を更新してしまいました!申し訳ありません。新たに更新しましたので確認してみてください!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
つぎはぎのよる
伊達きよ
BL
同窓会の次の日、俺が目覚めたのはラブホテルだった。なんで、まさか、誰と、どうして。焦って部屋から脱出しようと試みた俺の目の前に現れたのは、思いがけない人物だった……。
同窓会の夜と次の日の朝に起こった、アレやソレやコレなお話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
前世である母国の召喚に巻き込まれた俺
るい
BL
国の為に戦い、親友と言える者の前で死んだ前世の記憶があった俺は今世で今日も可愛い女の子を口説いていた。しかし何故か気が付けば、前世の母国にその女の子と召喚される。久しぶりの母国に驚くもどうやら俺はお呼びでない者のようで扱いに困った国の者は騎士の方へ面倒を投げた。俺は思った。そう、前世の職場に俺は舞い戻っている。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
金の野獣と薔薇の番
むー
BL
結季には記憶と共に失った大切な約束があった。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
止むを得ない事情で全寮制の学園の高等部に編入した結季。
彼は事故により7歳より以前の記憶がない。
高校進学時の検査でオメガ因子が見つかるまでベータとして養父母に育てられた。
オメガと判明したがフェロモンが出ることも発情期が来ることはなかった。
ある日、編入先の学園で金髪金眼の皇貴と出逢う。
彼の纒う薔薇の香りに発情し、結季の中のオメガが開花する。
その薔薇の香りのフェロモンを纏う皇貴は、全ての性を魅了し学園の頂点に立つアルファだ。
来るもの拒まずで性に奔放だが、番は持つつもりはないと公言していた。
皇貴との出会いが、少しずつ結季のオメガとしての運命が動き出す……?
4/20 本編開始。
『至高のオメガとガラスの靴』と同じ世界の話です。
(『至高の〜』完結から4ヶ月後の設定です。)
※シリーズものになっていますが、どの物語から読んでも大丈夫です。
【至高のオメガとガラスの靴】
↓
【金の野獣と薔薇の番】←今ココ
↓
【魔法使いと眠れるオメガ】
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる