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3章 騎士

6話

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「待ってください、僕、本当にレイモンド様の従者になりたいのです、お願いします」
ニコルはレイモンドの腕を掴む。
「どうしたのよ、ニコル?」
「きっと、連隊長もレイモンド様に言われたら僕を従者にしていただけなくなるかもしれません。一人前の騎士になれるように頑張りますから、どうかお願いします」
珍しく絞り出すような切ない声で懇願するニコル。
「あのね、ニコル。アタシ意地悪をしているんじゃないのよ?今まで十分にやってくれていたわ。でもね騎士はそれ以上に大変なのよ」
「やります。どんなに大変でも」
ニコルの真っ直ぐな視線にレイモンドは負けたわと肩を竦めて見せた。
「本当に?」
「はい」
「じゃあ、約束なさい。ちょっとでも、従者の仕事が大変だと思ったらやらなくていいわ、騎士としての勉学を優先してその間までできることをする事。それに、無理に仕事を増やそうと思わなくても良いわ。何度も言うけれど大概のことはアタシひとりでできるもの」
レイモンドが見上げた先、こちらを見下ろしてくるニコルの鼻先にちょんと人差し指を押し当てる。
「だからね、とりあえず従者ってことにするけど、ニコルは立派な騎士になる事を考えなさい、贔屓はしないわよ?その前に属性の確認ね?それと、Ωで間違いが無ければチョーカーを買わなきゃねって言うか、ニコル貴方ヒート来てないわよね?」
レイモンドはニコルの頬を撫でるとそっとその首筋に触れた。
「いきなり来るって言うし、それともヒートを抑えるのに抑制剤を飲んでいたりするの?それなら良くないわよ身体に悪影響を与えるって言うじゃない?」
21日周期で来るという発情。
それが、まだ来ていないのか。
それともその発情を無理矢理薬で抑え込んでいるのか。
色々とあるかとは思うが、レイモンドの記憶ではニコルが発情したのを見たことがない。
「とりあえず、チョーカーだけは直ぐに必要よね?今から引っ越すのが無いなら買いに行かない?もちろんアタシが買うけれど」
「え、レイモンド様?」
「アタシがしろと言っているんだからアタシが買うに決まってるでしょ?騎士だから白のチョーカーか黒のチョーカーの方が服には合うと思うのよね?
行きましょ、早い方がアタシも安心よ。それと、恋人が出来たら新しいの買ってもらいなさいな?時間がないから馬で行くわよ?着替えていらっしゃい」
早く早くとニコルを追い立てたレイモンドは、ニコルが部屋に入ると自分も着替えをするために部屋に入る。
「でも、チョーカー売り場なんてアタシ知らないのよね。今まで縁が無かったし」
そう言いながらレイモンドは財布を手にした。
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