【BL】オネェ騎士は見習いが可愛くて仕方ない。

梅花

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3章 騎士

4話

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「ちょっ、どうしてニコルが居るのよ……」
レイモンドは目を見開いた。
各小部屋に小隊に配属される騎士が散開し、小隊長を待つ形をとりその部屋にレイモンドは足を踏み入れた瞬間、その最前列にいた人間に息を呑んだ。
「こほん。まぁいいわ……」
レイモンドは部屋の中に聞こえるように話し始める。
「アタシは小隊長のレイモンド。貴方たちを預かる事になるけれどごめんなさいね、顔を知った子もいるけれど初めましての子もいるから、まずは名前ね?あと、騎士になった訳だけど見習いの時とは全く違う事を経験すると思うの。騎士になってやりたい事とかアタシに言っておきたいことがあったら遠慮なく言いなさい?」
20人程の新米騎士の顔を見ながら、レイモンドはゆっくりと話し掛ける。
「こっちは副隊長のムサファよ、これから貴方たちはアタシの家族になるのだから何でも疑問に思うこと、言いたいことがあれば遠慮なくね?じゃあ、ムサファから順に自己紹介ね」
このくだりは毎年のこと。
「俺からか?俺は副隊長のムサファだ、このレイモンド小隊長とは長年の付き合いだが……」
話上手なムサファは騎士たちの肩の力を抜くために、面白可笑しく話していく。
「で、小隊長に質問だ。恋人はいるのか?」
「まっ!ちょ、なんて事を聞くのよ!ムサファ副隊長?もう、いないわよ……まったく」
そう言ってクスクス笑うと、騎士たちの緊張も解けたようだった。
「まったく、じゃあ端から名前と自分のやりたいことがあれば、無ければいいけれど。聞きたいことがあれば遠慮なくね?」
レイモンドはにこりと笑みを向ける。
すると、端から指名した騎士たちが名乗っていく。
顔と名前を覚えるのは嫌いではない。
「あら、もしかして7小隊にお兄さんがいない?良く似てるわ?」
「花屋の息子さんね?お父様にはお世話になっているのよ」
名前と容姿から家族構成を導き出しながら声を掛ける。もちろん知らない家もあるが、そうすればそこから更に掘り下げる。
「出身はどこ?そう、暖かい海が綺麗な地方よね。アタシ泳ぐの苦手で何かあったら頼むわね?」
「あら、山の中の集落なの?良いわね自然が豊かなの好きよ。動物たくさんいるの、素敵じゃない」
そう声を掛けて、ニコルの番になる。
「この子、アタシの従者だったのよ。面倒見が良くて優しいから困ったことがあれば頼るといいわ。でも、アタシの困っているのが先だろうからその時はよろしくね?」
敢えて家族構成等は言わない。知っている人は知っているから自分の従者だったと伝えた。
もう、従者をしてもらうつもりはないけれど。
「小隊長、次の従者は決まっていますか?」
「いないわよ、ムサファが無理やり連れてこなければ……だけど」
「じゃあ、僕が立候補しますね」
にこりと笑って座ったニコル。
「ちょっ……!」
ニコルを制しようとして、次の騎士が立ち上がったため、レイモンドは後でニコルを何とかしないとと目を伏せた。
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