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1章 見習い

7話

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「え、ニコル……なぁにこれは。全部使いなさいってアタシ言わなかったかしら?」
レイモンドは可愛らしく首を傾げる。
「え……」
「もう、アタシはこれ全部使って買い物をして来なさいって言ったつもりなんだけど……気に入ったのが無かったかしら?」
困ったわねと言うレイモンドにニコルは顔面蒼白になる。
「も、申し訳……」
「まぁ、仕方ないわ、次のお店に行きましょ?それと、これ中古のは無いだろうから部屋に戻ったら開けなさい?」
レイモンドが取り出したのは封のされた紙袋。
「え」
「いいから、行くわよ次のお店」
レイモンドはニコルの腕を掴みずんずんと歩いていく。
「こっちの店も中古品よ、入りましょう?着替えなんて何着あってもいいんだし。ほら、いらっしゃい、選んであげるわ」
扉を開くとカランカランとベルがなる。
「こんにちはー、レイモンドよ」
レイモンドが店の奥に声を掛けると奥から青年が出てきた。
「はぁい、ご無沙汰しちゃったわね。この子に何着か服を見繕いたいのよ、ニコルおいでなさいな」
店員は綺麗な人だった。
「ふぅん、将来イケメンになりそうね」
「でしょ、可愛らしいもの」
レイモンド様と似た喋り方をするなと思いながらニコルは青年を見た。
「これから着るのを買うんでしょ?チュニック丈なら背が延びてもちょっとは長く着ていられるし、この子なら緑とかも似合いそうよね、アンバーの瞳がキュートだもの」
若草色のシャツやモスグリーンのズボンを青年が持ってきて、ニコルの胸に色を当て始める。
「あら、素敵ね、それ貰うわ」
「ありがとうございます、他もきっと似合うわよ、コバルトブルーとかどうかしら?」
「ニコル、どっちがいい?」
レイモンドに言われてニコルはどちらでも良かった。
こんな綺麗な色の服は着た事が無い。
「えっと……」
悩んでいる間に、レイモンドは他を手にする。
「んー、どっちも良いわねぇ、ニコルが選べないなら両方かしら……銀貨四枚と銅貨一枚、これで買えるだけ欲しいわ。あと、騎士団まで届けてくれる?この後、他も回るのよ」
「んー、了解。少し色味を抑えた服も見繕っておくわね」
「頼んだわ。じゃあ行きましょ」
じゃあねと、レイモンドはひらひらと手を振り、その手をニコルに差し出した。
「ほら、迷子になると困るわよ?」
ニコルはおずおずとその手を掴み歩き出す。
「お茶にしましょ美味しいマドレーヌのお店があるのよ」
ニコルが好きと言っていたマドレーヌを色々と食べさせたいのだと調べた店。
自分も甘味が好きだから楽しみだとレイモンドは足取り軽やかに歩いていく。
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