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第二章
新人教官、星坂有賀です!
しおりを挟む「おーい起きるんだ、有賀君。出発の時間だ」
日が登って間もない午前7時、俺は美少女に優しく起こされるのではなく、親父さんに叩き起こされると引きずられながら葉月家の玄関へ連れて行かれる。
「「おはようございます!」」
玄関で待っていたのは、柚、そして俺と同い年位の少女が一人。同い年位の少女は栗色のゆるふわショートという、かなり男心をくすぐってくる容姿だ。
(というか柚の目線が痛いんだが…まだ昨日の事怒ってんのかよ)
ジロリという睨みに、俺は思わず柚から目を逸らした。
「おはよう二人とも、昨日の試験は惜しかったな…」
親父さんが盛大に地雷を踏み抜くと、一気に空気が重くなる。柚の視線もさらに痛いものとなった。
(本当マジで何なのこの親子!?というか、栗色少女も落ちたってことか…)
「あ、そうそう、今日から始める三日間のインターバル、ひいては強化訓練だが…こちらの星坂有賀くんに教官を頼みたいと思う」
「「…!?」」
柚は言わずもがな、栗色少女も目を丸くし俺を見る。
(そりゃそうだろう赤の他人に教えてもらうとか俺でも不安すぎる。ていうか、やば、パジャマくらい着替えればよかったわ…)
「教官って…本当ですか?」
頬を痙攣らせながら質問したのは、柚。
「はい、おや…葉月健さんの言う通りです。星坂有賀、今日一日教官として頑張ります」
柚は置いておいて、栗色の髪の子にとってのファースト印象は重要。俺は柚の質問に間髪開けずニコリと笑顔、勇者対応をみせる。
(まぁ、乗り掛かった船だ、頑張ろう…)
俺の笑い顔は既にひきつりかけていた。
時は数時間遡る。
「試験を受けたいだぁ?」
机をドンと叩くと目を丸くする。完全に柚とダブった動きだ。
「はい、今日のアクシデントは…多分…俺のせいです、だから責任をもって娘さんと採用へ導こうかと…」
(まぁ俺には非、多分ないけどな…家に泊まらせてもらってる以上何かしないと罰当たりそうだし…)
「なるほど、それで採用試験を一緒に受けよう、とは考えたな…でもうちは生憎途中参加は受け付けてなくてだなぁ…」
(チッ、じゃあずっとアイツに呪われたままかよ…)
「あ、ちょっと待てよ…なぁ教官とかはどうだ!?」
「教官…?」
「あぁ教官だ。有賀くんの戦闘能力的に充分教官をできるとおもうんだ。責任を取るなら、柚のやつを鍛えてやってくれないか?次の試験までは三日もある」
話を聞くに、どうやら親父さんの経営する自警団は、一度落ちても三日後に再挑戦できるらしい。
そして普段なら落ちても三日の間に親父さん自ら教えるらしいのだが、総勢20名にもなる自警団の運営に加え、娘の手ほどきは流石に荷が重く、困っていたそうだ。
(それで部外者の俺に教官って…大丈夫かこの自警団?)
「まぁ…分かりました。出来る限りやってみます」
「よろしく頼んだぜ!」
親父さんは白い歯を見せて笑った。
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