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隻眼の俺と魔術行使の新たな可能性
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「魔術を扱っているのか、どうやって」
上空から紫色の軍隊を見つめる。彼らは皆ローブを羽織っており、目深なフードで顔を隠している。外壁を囲っている軍勢は五千はいるだろうか。
『データ不足です。ですがグロウス《ラプチャー》が放っていた火力と同等と読み取れます。放つ速度もラプチャーより数秒遅い程度です』
「一撃で家屋は吹き飛びそうだな」
視線を動かし旗を見つめると、紫の旗がクローズアップされる。
青い焔に死神が持つような鎌のマークが描かれている。
一国のシンボルモチーフなどではなさそうだ。
とうことは黄金甲冑や第四聖剣の部隊ではない。それよりも先に何処からか情報を仕入れた連中が仕掛けてきたのだ。
「短時間でこんな人数を集めて、だと?」
俺は地上に急降下し、飛んできた火球を腕で弾き飛ばす。
「逃げてください、さあ早く!」
火球に飲みこまれそうになった家族を助けつつ、再度空へと跳躍する。
ガドウとレウィンリィ、シュラクと黄金甲冑の妹、そして黄金甲冑。まだ全員発見できていないが、それぞれ力のある連中だ。まずは外壁の連中を止めたほうがよさそうだ。
「アトラ、殺傷能力なしで無力化できる武装はないのか?」
『非致死性兵器ですね、ご用意いたします』
アトラの言葉が終わると、アトラスの背中に二つに浮遊する巨大なレーダーのような物が現れた。
『アクティブ・ディナイアル・システム起動』
俺は上空からが外壁を破壊しようと魔術を撃ちまくっている数百名単位に狙いを定める。
アトラスから覗く視界に攻撃範囲が表示され、俺は意志に攻撃指令をくだした。
「——派手な見た目はないんだな」
特に何も起きないが狙いを定められた人間たちは、次々にその場から後退していく。
『ミリ波の電磁波を照射し、皮膚の表面温度を上昇させ、耐えがたい熱が体内から生まれるように錯覚させ無力化するシステムです』
「む、無害なんだよな」
耐えがたい熱のレベルが怖いんだが。
『ええ、電子レンジ以上ではありますが』
「後遺症が出ない程度にしてくれよ」
俺は次なるターゲットたちに狙いを定め、次々と魔術師たちを無力化していく。鎮圧は予想以上に楽勝で、アトラスに対して魔術の攻撃があっても、彼ら程度では傷一つつけられはしなかった。
「これは、すぐに収まるか?」
俺は屋根から外壁に跳躍し、あらかた片付いた敵軍を見やる。あとは反対側も掃除しに行こう。派手さもない戦いだったな。
よっこらせと腰を叩きながら跳躍しようとしたとき、俺に迫る氷の塊を二つ叩き落す。
「何だテメェ——黒甲冑のコスプレ野郎か?」
氷を叩き落とした視線の先には、長身の猫背がこちらを向いている。フードで目元は隠れているが、顎は細く口元も病的なまでに紫色だ。ローブの両肩は袖がなく、骨ばった生身の腕が出ているロックな魔術師のようだ。
「お前は指揮官か?」
「どうだか」
ローブの両脇のポケットに手を突っ込んだまま、男はにやりと笑う。
「文句のあるやつは氷漬けだ!」
すると彼の身体から魂のような蒼の焔が分離して、彼の背中にもう一体の人型が現れる。そう、それは——グロウス。
「あいつ、グロウスを使役しているのか!」
男の背に立つグロウスが俺へと指をさすと、地面を走る氷の刃が生まれる。
「ふへへ、へへ!」
跳躍して外壁を離れて手短な民家の屋根に移動するが、グロウスは次々と氷の魔術を放つ。
「そうさ、俺はグロウスを使役できた一人。本物の魔術師様なんだよ!」
上空から紫色の軍隊を見つめる。彼らは皆ローブを羽織っており、目深なフードで顔を隠している。外壁を囲っている軍勢は五千はいるだろうか。
『データ不足です。ですがグロウス《ラプチャー》が放っていた火力と同等と読み取れます。放つ速度もラプチャーより数秒遅い程度です』
「一撃で家屋は吹き飛びそうだな」
視線を動かし旗を見つめると、紫の旗がクローズアップされる。
青い焔に死神が持つような鎌のマークが描かれている。
一国のシンボルモチーフなどではなさそうだ。
とうことは黄金甲冑や第四聖剣の部隊ではない。それよりも先に何処からか情報を仕入れた連中が仕掛けてきたのだ。
「短時間でこんな人数を集めて、だと?」
俺は地上に急降下し、飛んできた火球を腕で弾き飛ばす。
「逃げてください、さあ早く!」
火球に飲みこまれそうになった家族を助けつつ、再度空へと跳躍する。
ガドウとレウィンリィ、シュラクと黄金甲冑の妹、そして黄金甲冑。まだ全員発見できていないが、それぞれ力のある連中だ。まずは外壁の連中を止めたほうがよさそうだ。
「アトラ、殺傷能力なしで無力化できる武装はないのか?」
『非致死性兵器ですね、ご用意いたします』
アトラの言葉が終わると、アトラスの背中に二つに浮遊する巨大なレーダーのような物が現れた。
『アクティブ・ディナイアル・システム起動』
俺は上空からが外壁を破壊しようと魔術を撃ちまくっている数百名単位に狙いを定める。
アトラスから覗く視界に攻撃範囲が表示され、俺は意志に攻撃指令をくだした。
「——派手な見た目はないんだな」
特に何も起きないが狙いを定められた人間たちは、次々にその場から後退していく。
『ミリ波の電磁波を照射し、皮膚の表面温度を上昇させ、耐えがたい熱が体内から生まれるように錯覚させ無力化するシステムです』
「む、無害なんだよな」
耐えがたい熱のレベルが怖いんだが。
『ええ、電子レンジ以上ではありますが』
「後遺症が出ない程度にしてくれよ」
俺は次なるターゲットたちに狙いを定め、次々と魔術師たちを無力化していく。鎮圧は予想以上に楽勝で、アトラスに対して魔術の攻撃があっても、彼ら程度では傷一つつけられはしなかった。
「これは、すぐに収まるか?」
俺は屋根から外壁に跳躍し、あらかた片付いた敵軍を見やる。あとは反対側も掃除しに行こう。派手さもない戦いだったな。
よっこらせと腰を叩きながら跳躍しようとしたとき、俺に迫る氷の塊を二つ叩き落す。
「何だテメェ——黒甲冑のコスプレ野郎か?」
氷を叩き落とした視線の先には、長身の猫背がこちらを向いている。フードで目元は隠れているが、顎は細く口元も病的なまでに紫色だ。ローブの両肩は袖がなく、骨ばった生身の腕が出ているロックな魔術師のようだ。
「お前は指揮官か?」
「どうだか」
ローブの両脇のポケットに手を突っ込んだまま、男はにやりと笑う。
「文句のあるやつは氷漬けだ!」
すると彼の身体から魂のような蒼の焔が分離して、彼の背中にもう一体の人型が現れる。そう、それは——グロウス。
「あいつ、グロウスを使役しているのか!」
男の背に立つグロウスが俺へと指をさすと、地面を走る氷の刃が生まれる。
「ふへへ、へへ!」
跳躍して外壁を離れて手短な民家の屋根に移動するが、グロウスは次々と氷の魔術を放つ。
「そうさ、俺はグロウスを使役できた一人。本物の魔術師様なんだよ!」
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