中年おっさんサラリーマン、異世界の魔法には賢者の石搭載万能パワードスーツが最強でした ~清楚幼女や錬金術女子高生と家族生活~

ひなの ねね

文字の大きさ
上 下
49 / 70

隻眼の俺と赤髪の純粋の落下点

しおりを挟む
 くそ、名前くらい考えとくんだった。



 こんな時かっこつかないから、何とかマンとか、言えばよかったのか? でもマンってなんかなあ。



 いやいや、今はそれどころじゃない。



『マスター、あれは紛れもなく精神残留の塊です』



「どうやらそうらしいな」



 シュラクをすぐに見つけたのは、お化けセンサーを起動したからだ。街の至る所にセンサーは反応したが、最も強く反応したのはこの街外れだった。



 ファイティングポーズを取りながら、黒い靄を認識する。



 のらりと歩きながら、ずっと手招きしている。



「あれはどういうことだ」



『呼んでいるのでしょう』



 危ないやつかすら判断できないが、シュラクを飲み込んでいたのは確かだ。対処した方が良い。



「アトラ」



『対異世界武装、奇術喰いを展開します』



 アトラが語りだすと俺を中心として、キラキラとした何かが散布される。



『精神次元に存在している概念を物質次元へと無理やり呼び出しています。今なら次元を超えて、愉快にわんぱく可能です』



「わんぱくとはそりゃ結構なこった!」



 背中から跳躍力強化用のブースターを展開し、地面を思いっきり蹴り上げて、黒い靄に右ストレートを叩きこむ。



「ぉぉぉぉ」



「手応えがあった!」



 フック、ジャブ、ストレート。アトラススーツによる能力強化が義贋総司郎の体を無限へといざなっていく。



「成仏!」



 最後の拳を叩きつけようとしたとき、黒い靄は地面に水が吸い込まれるように消え去る。



 同時に足元は水よりも抵抗力のない闇へと変化し、俺とシュラクを飲み込んだ。



 早い、まさか地面に溶けるなんて。



「シュラクっ!」



 俺は彼を抱き込み、そのまま地中深くへと沈んでいった。



 潜っていた時間は一分もなかったと思う。



 土を抜けると、そこは何かしらの空間が広がっていた。



 スッと着地して、シュラクをそっと地面に置く。



「ここは……」



 辺りを見回したシュラクは、はっと息をのんだ。



「お前、何者だ、まさか黒甲冑——」



「俺だよ俺」



 表情だけ出るようにアトラスフェイスをオープンする。



「げええ、義贋総司郎」



「心底嫌そうにするなって、少年」



 若いやつに理由なく毛嫌いされると、おじさんは気付くんだぜ?



「それ付けると声まで変わるのかよ、お前一体何なんだよ」



「通りすがりのサラリーマンでしかないんだが」



「なんでこんな奴にガドウさんが——」



 ブツブツと呟きながら、シュラクは辺りを見回す。天井は完全に地面だ。足元は規則正しく人工的に切られた石が敷き詰められている。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

倒した魔物が消えるのは、僕だけのスキルらしいです

桐山じゃろ
ファンタジー
日常のなんでもないタイミングで右眼の色だけ変わってしまうという特異体質のディールは、魔物に止めを刺すだけで魔物の死骸を消してしまえる能力を持っていた。世間では魔物を消せるのは聖女の魔滅魔法のみ。聖女に疎まれてパーティを追い出され、今度は魔滅魔法の使えない聖女とパーティを組むことに。瞳の力は魔物を消すだけではないことを知る頃には、ディールは世界の命運に巻き込まれていた。

転生した体のスペックがチート

モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。 目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい このサイトでは10話まで投稿しています。 続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。

けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。 日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。 あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの? ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。 感想などお待ちしております。

TS転移勇者、隣国で冒険者として生きていく~召喚されて早々、ニセ勇者と罵られ王国に処分されそうになった俺。実は最強のチートスキル持ちだった~

夏芽空
ファンタジー
しがないサラリーマンをしていたユウリは、勇者として異世界に召喚された。 そんなユウリに対し、召喚元の国王はこう言ったのだ――『ニセ勇者』と。 召喚された勇者は通常、大いなる力を持つとされている。 だが、ユウリが所持していたスキルは初級魔法である【ファイアボール】、そして、【勇者覚醒】という効果の分からないスキルのみだった。 多大な準備を費やして召喚した勇者が役立たずだったことに大きく憤慨した国王は、ユウリを殺処分しようとする。 それを知ったユウリは逃亡。 しかし、追手に見つかり殺されそうになってしまう。 そのとき、【勇者覚醒】の効果が発動した。 【勇者覚醒】の効果は、全てのステータスを極限レベルまで引き上げるという、とんでもないチートスキルだった。 チートスキルによって追手を処理したユウリは、他国へ潜伏。 その地で、冒険者として生きていくことを決めたのだった。 ※TS要素があります(主人公)

少年神官系勇者―異世界から帰還する―

mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる? 別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨ この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行) この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。 この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。 この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。 この作品は「pixiv」にも掲載しています。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって? そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。

処理中です...