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隻眼の俺と赤髪の純粋
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「到着だ」
外壁から入場を済ませ、馬車を止める。馬車置き場はまるで駐車場のように様々なホロが停められていた。ガドウが馬を預けてくると、俺たちの元へかけてくる少年の姿が目に入った。
「ガドウさん、レウィンリィさん、お待ちしていました!」
歳は十七歳くらいの健康的なスポーツ少年といった感じだ。髪は赤くツンツンと逆立っていて、服装も動きやすい袖なしの服とハーフパンツで体育会系の匂いがした。
「待たせたなシュラク」
「はい、宿はこちらです」
シュラクと呼ばれた少年は馬車の荷物を持ちながら、ふと俺に気が付く。
「あなたは、」
「そいつは例の男だ。協力者になったところさ」
「よろしく、義贋総司郎だ」
手を差し出すと少年は意志のこもった鋭い目で俺を睨みつける。そして足先から頭の先まで舐めるように観察された。
「こんな頼りなさそうな奴が、俺たちマギアハウンドの協力者ですか?」
俺の手を払いのけ、ガドウとレウィンリィの荷物を両手一杯に持つ。そして再度俺を睨みつけ、「ふん」と鼻を鳴らした。
「少年、荷物持ち過ぎじゃないか。少し手伝おうか?」
「俺もマギアハウンドの一人だ。このくらい余裕だ。ガドウさんにスカウトされたからといって、いい気になるなよ」
と捨て台詞を残し、シエロとクロエに頭を下げて先頭を歩きだした。
「チェリー、嫌われてるねえ」
歩き出した俺に、笑いを押し殺しながらレウィンリィが並ぶ。
「悪い子じゃないけど、少し純粋すぎるところがあるのよ」
「あの歳の子供は、大人を斜めに見やすいからな」
「あら、分かったような口ぶり」
唇に手を当てて、じっと俺を見つめる。
「まあな、これでも三五だ。当時は色々あったさ」
反抗期ってやつは誰だってあるだろ? なかったにしても思い返せばあれだったかもなってものはあるはずさ。
「それはそれは興味深いこと。お酒を交えて詳しく聞きたいなあ」
「うっ……」
顔を近づけてにっこりとほほ笑む。どうにもレウィンリィは俺に対する距離が近い。歳も俺より一回りくらい若いはずなのに、精神的に俺より年上のお姉さんのようにすら感じてしまう。
「まあ、タイミングが合えば——うお、」
話している最中にグイっと右手を引っ張られ、俺はその勢いで走り出す。
「どうした、シエロ」
「そうじろう、早く街をみよう!」
お嬢様風の服装になったシエロは、スカートをはためかせながら頂上に続く坂道を駆けだす。俺はやれやれと思い、ガドウ達に軽く手を上げるのだった。
外壁から入場を済ませ、馬車を止める。馬車置き場はまるで駐車場のように様々なホロが停められていた。ガドウが馬を預けてくると、俺たちの元へかけてくる少年の姿が目に入った。
「ガドウさん、レウィンリィさん、お待ちしていました!」
歳は十七歳くらいの健康的なスポーツ少年といった感じだ。髪は赤くツンツンと逆立っていて、服装も動きやすい袖なしの服とハーフパンツで体育会系の匂いがした。
「待たせたなシュラク」
「はい、宿はこちらです」
シュラクと呼ばれた少年は馬車の荷物を持ちながら、ふと俺に気が付く。
「あなたは、」
「そいつは例の男だ。協力者になったところさ」
「よろしく、義贋総司郎だ」
手を差し出すと少年は意志のこもった鋭い目で俺を睨みつける。そして足先から頭の先まで舐めるように観察された。
「こんな頼りなさそうな奴が、俺たちマギアハウンドの協力者ですか?」
俺の手を払いのけ、ガドウとレウィンリィの荷物を両手一杯に持つ。そして再度俺を睨みつけ、「ふん」と鼻を鳴らした。
「少年、荷物持ち過ぎじゃないか。少し手伝おうか?」
「俺もマギアハウンドの一人だ。このくらい余裕だ。ガドウさんにスカウトされたからといって、いい気になるなよ」
と捨て台詞を残し、シエロとクロエに頭を下げて先頭を歩きだした。
「チェリー、嫌われてるねえ」
歩き出した俺に、笑いを押し殺しながらレウィンリィが並ぶ。
「悪い子じゃないけど、少し純粋すぎるところがあるのよ」
「あの歳の子供は、大人を斜めに見やすいからな」
「あら、分かったような口ぶり」
唇に手を当てて、じっと俺を見つめる。
「まあな、これでも三五だ。当時は色々あったさ」
反抗期ってやつは誰だってあるだろ? なかったにしても思い返せばあれだったかもなってものはあるはずさ。
「それはそれは興味深いこと。お酒を交えて詳しく聞きたいなあ」
「うっ……」
顔を近づけてにっこりとほほ笑む。どうにもレウィンリィは俺に対する距離が近い。歳も俺より一回りくらい若いはずなのに、精神的に俺より年上のお姉さんのようにすら感じてしまう。
「まあ、タイミングが合えば——うお、」
話している最中にグイっと右手を引っ張られ、俺はその勢いで走り出す。
「どうした、シエロ」
「そうじろう、早く街をみよう!」
お嬢様風の服装になったシエロは、スカートをはためかせながら頂上に続く坂道を駆けだす。俺はやれやれと思い、ガドウ達に軽く手を上げるのだった。
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