40 / 70
隻眼の俺と赤髪の純粋
しおりを挟む
「到着だ」
外壁から入場を済ませ、馬車を止める。馬車置き場はまるで駐車場のように様々なホロが停められていた。ガドウが馬を預けてくると、俺たちの元へかけてくる少年の姿が目に入った。
「ガドウさん、レウィンリィさん、お待ちしていました!」
歳は十七歳くらいの健康的なスポーツ少年といった感じだ。髪は赤くツンツンと逆立っていて、服装も動きやすい袖なしの服とハーフパンツで体育会系の匂いがした。
「待たせたなシュラク」
「はい、宿はこちらです」
シュラクと呼ばれた少年は馬車の荷物を持ちながら、ふと俺に気が付く。
「あなたは、」
「そいつは例の男だ。協力者になったところさ」
「よろしく、義贋総司郎だ」
手を差し出すと少年は意志のこもった鋭い目で俺を睨みつける。そして足先から頭の先まで舐めるように観察された。
「こんな頼りなさそうな奴が、俺たちマギアハウンドの協力者ですか?」
俺の手を払いのけ、ガドウとレウィンリィの荷物を両手一杯に持つ。そして再度俺を睨みつけ、「ふん」と鼻を鳴らした。
「少年、荷物持ち過ぎじゃないか。少し手伝おうか?」
「俺もマギアハウンドの一人だ。このくらい余裕だ。ガドウさんにスカウトされたからといって、いい気になるなよ」
と捨て台詞を残し、シエロとクロエに頭を下げて先頭を歩きだした。
「チェリー、嫌われてるねえ」
歩き出した俺に、笑いを押し殺しながらレウィンリィが並ぶ。
「悪い子じゃないけど、少し純粋すぎるところがあるのよ」
「あの歳の子供は、大人を斜めに見やすいからな」
「あら、分かったような口ぶり」
唇に手を当てて、じっと俺を見つめる。
「まあな、これでも三五だ。当時は色々あったさ」
反抗期ってやつは誰だってあるだろ? なかったにしても思い返せばあれだったかもなってものはあるはずさ。
「それはそれは興味深いこと。お酒を交えて詳しく聞きたいなあ」
「うっ……」
顔を近づけてにっこりとほほ笑む。どうにもレウィンリィは俺に対する距離が近い。歳も俺より一回りくらい若いはずなのに、精神的に俺より年上のお姉さんのようにすら感じてしまう。
「まあ、タイミングが合えば——うお、」
話している最中にグイっと右手を引っ張られ、俺はその勢いで走り出す。
「どうした、シエロ」
「そうじろう、早く街をみよう!」
お嬢様風の服装になったシエロは、スカートをはためかせながら頂上に続く坂道を駆けだす。俺はやれやれと思い、ガドウ達に軽く手を上げるのだった。
外壁から入場を済ませ、馬車を止める。馬車置き場はまるで駐車場のように様々なホロが停められていた。ガドウが馬を預けてくると、俺たちの元へかけてくる少年の姿が目に入った。
「ガドウさん、レウィンリィさん、お待ちしていました!」
歳は十七歳くらいの健康的なスポーツ少年といった感じだ。髪は赤くツンツンと逆立っていて、服装も動きやすい袖なしの服とハーフパンツで体育会系の匂いがした。
「待たせたなシュラク」
「はい、宿はこちらです」
シュラクと呼ばれた少年は馬車の荷物を持ちながら、ふと俺に気が付く。
「あなたは、」
「そいつは例の男だ。協力者になったところさ」
「よろしく、義贋総司郎だ」
手を差し出すと少年は意志のこもった鋭い目で俺を睨みつける。そして足先から頭の先まで舐めるように観察された。
「こんな頼りなさそうな奴が、俺たちマギアハウンドの協力者ですか?」
俺の手を払いのけ、ガドウとレウィンリィの荷物を両手一杯に持つ。そして再度俺を睨みつけ、「ふん」と鼻を鳴らした。
「少年、荷物持ち過ぎじゃないか。少し手伝おうか?」
「俺もマギアハウンドの一人だ。このくらい余裕だ。ガドウさんにスカウトされたからといって、いい気になるなよ」
と捨て台詞を残し、シエロとクロエに頭を下げて先頭を歩きだした。
「チェリー、嫌われてるねえ」
歩き出した俺に、笑いを押し殺しながらレウィンリィが並ぶ。
「悪い子じゃないけど、少し純粋すぎるところがあるのよ」
「あの歳の子供は、大人を斜めに見やすいからな」
「あら、分かったような口ぶり」
唇に手を当てて、じっと俺を見つめる。
「まあな、これでも三五だ。当時は色々あったさ」
反抗期ってやつは誰だってあるだろ? なかったにしても思い返せばあれだったかもなってものはあるはずさ。
「それはそれは興味深いこと。お酒を交えて詳しく聞きたいなあ」
「うっ……」
顔を近づけてにっこりとほほ笑む。どうにもレウィンリィは俺に対する距離が近い。歳も俺より一回りくらい若いはずなのに、精神的に俺より年上のお姉さんのようにすら感じてしまう。
「まあ、タイミングが合えば——うお、」
話している最中にグイっと右手を引っ張られ、俺はその勢いで走り出す。
「どうした、シエロ」
「そうじろう、早く街をみよう!」
お嬢様風の服装になったシエロは、スカートをはためかせながら頂上に続く坂道を駆けだす。俺はやれやれと思い、ガドウ達に軽く手を上げるのだった。
0
お気に入りに追加
43
あなたにおすすめの小説

転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】
一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。
追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。
無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。
そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード!
異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。
【諸注意】
以前投稿した同名の短編の連載版になります。
連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。
なんでも大丈夫な方向けです。
小説の形をしていないので、読む人を選びます。
以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。
disりに見えてしまう表現があります。
以上の点から気分を害されても責任は負えません。
閲覧は自己責任でお願いします。
小説家になろう、pixivでも投稿しています。
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。
少年神官系勇者―異世界から帰還する―
mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる?
別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨
この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行)
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。
この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。
この作品は「pixiv」にも掲載しています。
田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。
けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。
日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。
あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの?
ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。
感想などお待ちしております。

TS転移勇者、隣国で冒険者として生きていく~召喚されて早々、ニセ勇者と罵られ王国に処分されそうになった俺。実は最強のチートスキル持ちだった~
夏芽空
ファンタジー
しがないサラリーマンをしていたユウリは、勇者として異世界に召喚された。
そんなユウリに対し、召喚元の国王はこう言ったのだ――『ニセ勇者』と。
召喚された勇者は通常、大いなる力を持つとされている。
だが、ユウリが所持していたスキルは初級魔法である【ファイアボール】、そして、【勇者覚醒】という効果の分からないスキルのみだった。
多大な準備を費やして召喚した勇者が役立たずだったことに大きく憤慨した国王は、ユウリを殺処分しようとする。
それを知ったユウリは逃亡。
しかし、追手に見つかり殺されそうになってしまう。
そのとき、【勇者覚醒】の効果が発動した。
【勇者覚醒】の効果は、全てのステータスを極限レベルまで引き上げるという、とんでもないチートスキルだった。
チートスキルによって追手を処理したユウリは、他国へ潜伏。
その地で、冒険者として生きていくことを決めたのだった。
※TS要素があります(主人公)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる