「だから結婚は君としただろう?」

ホンス伯爵家にはプリシラとリリアラという二人の娘がいた。

黒髪に茶色の瞳の地味なプリシラと、金髪で明るい色彩なリリアラ。両親は妹のリリアラを贔屓していた。
救いは、祖父母伯爵は孫をどちらも愛していたこと。大事にしていた…のに。

プリシラは幼い頃より互いに慕い合うアンドリューと結婚し、ホンス伯爵家を継ぐことになっていた。

それを。
あと一ヶ月後には結婚式を行うことになっていたある夜。

アンドリューの寝台に一糸まとわぬリリアラの姿があった。リリアラは、彼女も慕っていたアンドリューとプリシラが結婚するのが気に入らなかったのだ。自分は格下の子爵家に嫁がねばならないのに、姉は美しいアンドリューと結婚して伯爵家も手に入れるだなんて。

…そうして。リリアラは見事に伯爵家もアンドリューも手に入れた。

けれどアンドリューは改めての初夜の夜に告げる。

「君を愛することはない」

と。

わがまま妹に寝取られた物語ですが、寝取られた男性がそのまま流されないお話。そんなことしたら幸せになれるはずがないお話。
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