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プロローグ

真子、3人と出会う。

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「...どうしてこうなったんだろう。」

 目の前には3人の男子。

「俺の右眼に宿りし漆黒のドラゴンがぁぁぁぁ!!!」
とか言いながらなぜか左目を押さえる黒崎(自称・漆黒の騎士 龍牙)。

「お姉さん、ボクお姉さんの彼氏になりたいな♡」
シッポがブンブンしているのが見える犬飼。

「百合ちゃんは俺の嫁だあああ!!!!」
スマホにかじりつく夢見。

 始まりは、2時間前...。


 (今日はついに魔女のマリカ、略してマジョマリの最終回だ...!録画はばっちりだけど、やっぱりファンとしてはリアルタイムで見たいよね!)

 HRを終え、真子はニヤニヤしながら教室を出て靴箱に向かった。

「おーい、妃咲。ちょっとこっち来てくれるか~?」

 職員室からひょっこりと龍王先生が現れて、真子は瞬時に顔を引き締めた。

「は、はい、何ですか?」

「まあ、こっちに来て座って。」

  先生は、龍王の名前にそぐわないふわふわした笑顔をうかべた。

「実は、この3人の面倒を見て欲しいんだけが...。」

 そう言って差し出したのは、3人の男子が写った写真。真子は身を乗り出して、その写真を見つめた。

(え、全員イケメンじゃん...!しかも、左端の子、マジョマリのグッズ持ってるし...!)

「右から順番に、黒崎、犬飼、夢見だ。...引き受けてくれるか?」

「えっと...。」

「頼む!助けると思って!」

 先生が手を合わせて頼み込む。

「ええ、まあ...少しだけなら...。」

「本当か?ありがとう!もう3人は3階の特別教室に集めてあるから、簡単に挨拶してくれ。」

「はい。」

(今からか...マジョマリぃ...。)

 真子は来た道をもう一度、泣きそうになりながら引き返すのだった。


...という訳で、今に至る。


「先生...酷い...どうしてこんな変な人たちを私に...。」

 真子はえへん、と1度咳払いをした。

「ええと、今日からあなた達の面倒を見ることになった、生徒会長の妃咲真子です。よろしく。」

「へーえ、生徒会長ねぇ。面倒って具体的に何なの?」

 ポ〇キーを咥えた犬飼が首をかしげると、周りの2人も頷いた。

(いやポッ〇ー持ってくんなし)

「...えっと...」

 真子は説明しようとして口を止めた。

(先生、何すればいいのぉぉぉぉ!?)

 真子はまたしても泣きそうになるのだった。
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