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桐壺の章

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【平安艶話~光源氏の恋~】は源氏物語がベースになっているR-18要素のある恋愛ゲーム。

 プレイヤーは光源氏を操作して藤壺や葵の上といった女性達と接して彼女達の好感度を上げつつ、物語を進めて行く。

 その中で自分が本当に愛しているのは誰なのか?

 光源氏が自分にとっての真実の愛を見つけていくゲームなの。

 光源氏をクリアしたら夕霧と薫が主人公にした話も遊べるようになるのだけど、これはミニゲームのようなものだと言ってもいいから説明しなくていいわね。

 まずは本編にして全ての始まりとでも言うべき桐壺の章から。

 ゲームは按察使の大納言が妻である宮子に美月を入内させるように遺言を残すところから始まるの。

 宮子は女の戦場とでもいうべき後宮に私を入れたくないけど、夫の遺言もあるので入内させる事を決めたのよ。

 当事者である美月はというと、入内に乗り気ではなく寧ろこれからの事を考えたら怯えるしかなかったの。

 そりゃそうだよね。

 父親が居ない状態での入内だもん!

 美月にしてみれば恐怖でしかなかったでしょうよ!

 そんな美月の心を見透かしたかのように入内する数日前に、私の最推しである───中級貴族だけどセクシーな低音ボイスの長身ゴリマッチョで、二十一世紀であれば間違いなく女の方から言い寄って来る智寿が二条邸を訪れてこう言ってくれたの。

『入内するのは止めた方がいい。亡き大納言に代わって私が姫を護るから妻になって欲しい』

『智寿様・・・』

 美月は智寿の求婚を心の中では喜んでいたけど

『智寿様のお言葉は嬉しいですし天にも昇る心地です。ですが・・・私の入内は亡き父上のご遺言なのです。故に智寿様の妻になる事は無理ですわ・・・』

 と涙ながらに断ったの。

 智寿というのはゲームのオリキャラだけど、空蝉を妻にした伊予の介のように落ちぶれた名家の美月に言い寄ってきそうな男性が居ても不思議ではないよね?という理由で生み出されたキャラじゃないかな~?

 智寿に対する想いを胸に秘めて父親の遺言に従う形で入内した美月を桐壺帝が気に入ってしまった事で、弘徽殿の女御をはじめとする妃達から壮絶な虐めを受けるだけではなく、桐壺帝の溺愛っぷりに上達部が『桐壺の更衣は楊貴妃のように国を傾ける女』と美月を誹謗中傷したり、桐壺帝との間に第二皇子こと後の光源氏を儲けるのは漫画や小説とかで源氏物語を読んだ事がある人であればご存じの通り。

 皇子を産んだ事で桐壺帝の美月に対する愛情は更に深まるのだけど、それが原因で桐壺の更衣は周囲から白い目で見られるだけではなく妃達からの虐めもより凄惨なものになっていくの。

 そして───美月が命を落とす事になる決定的な事件が起こるのよ。

 第二皇子こと後の光源氏が三歳になった時に袴着の儀式を行ったのだけど、桐壺帝はそれを自分のポケットマネーではなく税金で賄いやがったのよーーーっ!!!

 弘徽殿側は一の宮こと後の朱雀帝の袴着の儀式の費用を自分達で出したのに、桐壺帝は第二皇子の袴着の儀式を税金で行った。

 税金を私的流用しただけではなく、桐壺帝を止めない美月に対して弘徽殿側が怒るのは当然だわ・・・。

『殿の遺言であったとはいえ、美月を宮仕えに出すべきではありませんでした・・・』

『母上・・・私は・・・』

 後見人が居ないのに父親の遺言に従った+桐壺帝の溺愛が原因でストレスフルになって倒れてしまった美月は実家の二条邸へ帰る事になり、宮子と第二皇子に見守られながらそのまま静かに瞳を閉じてしまうの。

 要するに身罷ったって事ね。

 でね、実は美月が宮子と第二皇子に対して何を言おうとしていたのか?ってプレイヤーの間で話題になっていたのよ。





 ①主上を愛し、主上に愛された私の一生はは短くも幸せでございました

 ②第二皇子様が幸せになれるよう天より見守っております

 ③本当は智寿様をお慕いしておりました。私の背の君は智寿様だけです





【智寿に対する想いを胸に秘めて入内した】という文章があったし、桐壺帝と情を交わしている時の美月は(私を抱いているのは智寿様)と涙を流しながら心の中で呟いていたムービーもあったから私個人としては③だと思うけど、母親になったのだから帝に対して夫としての愛情は抱けなくても第二皇子の父親としての情が湧いていたのかも知れないし、幼い我が子を残して逝く事に対する不安を言いたかったのかも知れない。





 桐壺の章はこれで終わり、次は光源氏が真実の愛を見つける為に彷徨う切っ掛けとなる藤壺の章へと進んで行くの。








 ※このゲームのキャラデザをしたのは美大でデッサンを学んだイラストレーターで、リクエスト通りにそれぞれのキャラクターを描いています。
 桐壺の更衣の実家は藤原氏かな?と思っているのですが、分からないので水瀬にしました。
 これは綱吉の時に大奥に入った右衛門佐局の実家である水無瀬家から取っています。







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