448 / 465
74.友、来たる-4-
しおりを挟む(ぼ、僕ちゃん!?パパン!?ママン!?ダミアンという侯爵家の跡取りは最低でもニ十歳以上という事よね!?しかも母親の語尾がざ~ます・・・)
ぶっ!
シェリルから話を聞き終えた紗雪は思わず吹き出してしまった。
「サユキ殿!?」
「も、申し訳ございません。ですがシェリル様のお話が面白かったからでも、ロザリア様のお立場が気の毒な事をおかしいと思ったからではないのです・・・」
僕ちゃん・・・
パパン・・・
ママン・・・
ざ~ます・・・
いい年をした大人が両親から僕ちゃん呼ばわりされている、両親を父上と母上ではなくパパンとママンと呼んでいるという事実が自分にとっての笑いのツボに入ってしまったのだと、紗雪が怒りの色を浮かべているシェリルに断りを入れる。
「こ、こんなに声を出して笑ったのは久し振りで・・・。僕ちゃん・・・。ニ十歳以上の大人が僕ちゃん・・・。パパンにママン・・・。語尾にざ~ます・・・。お、お腹が痛い・・・」
涙が出るくらいに笑った事で笑いのツボが外れたおかげなのか、落ち着いた紗雪は、離婚問題に強い弁護士を雇った上で教会にダミアンとの結婚が無効───白い結婚であった事を訴えればいいとシェリルに話す。
「それが出来ればロザリア殿は苦労などしないし、私も悩みはしない」
「夫と義両親からのパワハラとモラハラ発言の録音が出来れば、或いはその場面の録画が出来れば・・・」
今のキルシュブリューテ王国に録音か録画が出来る魔道具を作るだけの技術がないので、それ等の方法は諦めるしかない。
そのような類の魔道具が生まれる切っ掛けとなったのは紗雪がベルンハルトにインスタントカメラの製作を頼んだからなのだが、今回の事には関係ないのでおいておくとして───。
「これはロザリア様が屈辱に耐えれるかどうかの話になるのですが・・・ロザリア様が清らかな身である事を証明するか、或いは夫が唯一愛する女性達との間に成すかも知れない、もしかしたらユリアナ殿かカトリナ殿という女性との間に既に成しているかも知れない子供が托卵である可能性に賭けるしかないですね」
「サユキ殿の言い分は分かる。分かるのだが・・・」
「私もそれは承知の上で申しております。男を知っているのに子供を成せない身体だと罵られるよりも、男を知らない清らかな乙女であるからこそ子供を成せなかったのだと、僕ちゃん・・・ではなくダミアン殿のご両親も知った方が良いと思ったからこそです」
何はともあれ、私もロザリア様にお会いして直接お話をお聞きしたいですわ
もしかしたら何かお力になれるかも知れないですし・・・
「分かった。ならば私と共にラヴィアンローズ侯爵家に赴いて欲しい」
シェリルの要望に紗雪は首を縦に振る。
「さてと・・・」
シュルツベルク家を出て行くシェリルを見送った後、内情を探る為に紗雪はラヴィアンローズに式神を放つ。
2
お気に入りに追加
426
あなたにおすすめの小説
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?
サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。
*この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。
**週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います
登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」
「え? いいんですか?」
聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。
聖女となった者が皇太子の妻となる。
そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。
皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。
私の一番嫌いなタイプだった。
ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。
そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。
やった!
これで最悪な責務から解放された!
隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。
そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

私が嫁ぐ予定の伯爵家はなんだか不穏です。
しゃーりん
恋愛
伯爵令嬢サリューシアの婚約者は伯爵令息のテオルド。
しかし、テオルドは病弱で跡継ぎには不安があるということで弟のティムが婚約者に代わることになった。
突然の婚約者変更にサリューシアは戸惑う。
なぜならティムは少し前まで平民として暮らしてきた伯爵の庶子だったからだ。
だがティムはサリューシアの婚約者になれたことを喜び、努力を重ねていった。
そんな姿にサリューシアも好感を抱いていくが、ある日ティムの子供を連れた女性が現れて……
サリューシアは伯爵家に嫁いで幸せになれるのか?というお話です。

投獄された聖女は祈るのをやめ、自由を満喫している。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「偽聖女リーリエ、おまえとの婚約を破棄する。衛兵、偽聖女を地下牢に入れよ!」
リーリエは喜んだ。
「じゆ……、じゆう……自由だわ……!」
もう教会で一日中祈り続けなくてもいいのだ。

【完結】聖女召喚に巻き込まれたバリキャリですが、追い出されそうになったのでお金と魔獣をもらって出て行きます!
チャららA12・山もり
恋愛
二十七歳バリバリキャリアウーマンの鎌本博美(かまもとひろみ)が、交差点で後ろから背中を押された。死んだと思った博美だが、突如、異世界へ召喚される。召喚された博美が発した言葉を誤解したハロルド王子の前に、もうひとりの女性が現れた。博美の方が、聖女召喚に巻き込まれた一般人だと決めつけ、追い出されそうになる。しかし、バリキャリの博美は、そのまま追い出されることを拒否し、彼らに慰謝料を要求する。
お金を受け取るまで、博美は屋敷で暮らすことになり、数々の騒動に巻き込まれながら地下で暮らす魔獣と交流を深めていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる