カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

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閑話7.給食-3-

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 今回の給食のメインディッシュはミルフィーユカツ、サイドディッシュはキャベツのサラダを出そうというのが二人の意見だった。

 問題は主食とスープである。

 キルシュブリューテ王国の主食はパンであるが、米も広がりつつあるだけではなく受け入れられているのでご飯を出しても問題ないだろう。

 それにミルフィーユカツには何となくだが、ご飯と味噌汁が合いそうな気がする。

(問題はチキンライスやガーリックバターライスのように、給食のご飯には味が付いていない事だな・・・)

 いや、これには語弊がある。

 本で見る限りだがカレーライスやドリア、ちらし寿司や炊き込みご飯、パエリアといった米料理が主食として給食に出ており、それ等はスパイシーで深みがある、コクがあって円やか、甘酸っぱい、醤油のコクと食材から出た甘味と旨味を吸収する事で白米に味が染みているのだ。

 白米のままで出せば日本人である美奈子と信也には馴染みがあるから問題ないだろうが、兵士達は味気ない米料理だと感じるのではないだろうか。

(白米のままでも良く噛めば甘味を感じていくのだが・・・)

「レイモンド、少し休んだらどうかしら?」

「ぱぁぱ?」

 折角の休みだというのに給食のメニューを考えているレイモンドに、レオルナードと共にリビングにやって来た紗雪が声を掛ける。

「主食の米料理をどうするかを決めたら休むよ」

「根を詰め過ぎたら思考の坩堝に嵌まってしまうわ」

「ぱぁぱ、レオとねんねしゅる」

「レオルくん、パパの仕事が終わったらねんねしような」

 休むのが難しいのであれば、せめてお茶でも飲んで息抜きをして欲しいと紗雪が何を飲みたいかを、レオルナードと会話しているレイモンドに尋ねる。

「そうだな・・・。蜂蜜を入れた紅茶を・・・いや、俺が淹れ・・・」

(・・・・・・)

 お茶を淹れる為、キッチンへと向かおうとする紗雪を止めたレイモンドに、ある事が浮かぶ。

「紗雪?米は水以外で炊く事があるのか?」

「え?ええ。緑茶やほうじ茶で米を炊いた料理・・・茶飯があるし、ハーブティーで炊いたり、乾燥しているハーブと一緒に炊いたハーブライスもあるわね」

 但し、ハーブライスは和食系ではなくどちらかといえばエスニック系か洋食系だから今回のメインディッシュを考えたらそぐわないような気がする。白米に味気ないと感じるのであれば塩を入れて炊けばいいのでは?と提案する紗雪に緑茶で炊いた茶飯を出す事にしたとレイモンドが話す。

「濃い目の緑茶で炊けば白米が爽やかな風味のご飯になるし、緑茶の色がついた緑色になるから茶飯を出すのはいいかも知れないわね。でもそうなるとメインディッシュのミルフィーユカツはさっぱりした味付けではなく、チーズを加えて濃厚なものにした方がいいような気がするけど・・・」

「ミルフィーユカツに関してはチーズを挟んでいるか挟んでいないか。それとソースをかけなくても食べられるものを考えているんだ。ソースに関してだがポン酢を用意する」

「ソースをかけなくてもいいミルフィーユカツ?醤油や味噌といった調味料か、カレー粉のように何種類ものスパイスで下味を付けるの?それともチーズ以外を挟んだものなの?」

「それは・・・内緒だ。ただ初めての試みだから上手くいくかどうか分からないけどな」

 主食は茶飯で決まったので、次に二人はスープについて話し合う事にした。











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