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71.イクラと鮭7-
しおりを挟む今日は約束であるマースの日や!
という訳で、わいは人間に変身してゴールデンハニービーの蜜を持ってカフェ・ユグドラシルへと行ったんや。
勿論ちゃんと服を着てるで。
ちなみにゴールデンハニービーの蜜は、わいの我が儘を聞いてくれた礼みたいなもんやな。
(鮭の卵を使った料理・・・兄ちゃんはどんなのを用意してくれるんかな~?)
「いらっしゃいませ。鮭の卵を使った料理を希望したお客様ですね?お待ちしておりました」
姉ちゃんに案内されるまま席に就いて胸を弾ませてまっていると、もう一人の姉ちゃんが鮭の卵を使った料理を持って来たんや。
「お待たせいたしました。軍艦巻きとイクラ丼、イクラのパスタです」
グンカンマキ?
イクラドン?
イクラのパスタ?
姉ちゃんが持って来た料理は、わいにとって聞いた事がないもんやん?
それが顔に出てたんやろな。
姉ちゃんは教えてくれたんや。
軍艦巻きとイクラ丼は米料理でイクラのパスタはパスタ料理やって。
米って事はガーリックバターライスのようなもんなんやろな。
兄ちゃんの腕が確かな事を知っているわいは、まずパスタを食べてみる事にしたんや。
何やこれ!?
っていうか魚の卵ってこんなに小さかったか!?
何か・・・こう塊というか、もっと大きかったはずや!
噛む事でプチプチと弾けた魚の卵の旨味と塩の味がわいの口の中に広がっていったんや!
魚の卵とパスタに絡ませたら・・・何て言えばええんやろな?
濃厚なバターの風味に今まで口にした事のない何か(粉末昆布の事である)の旨味、小麦の風味、魚の卵の旨味とコクを感じるんや!
これぞハーモニー!
兄ちゃんの手に掛かれば魚の卵も美味い料理になるんやな・・・。
パスタを食べ切ったわいは次にイクラドンというのを食べてみたんや。
これは・・・ジャイアントブラックバイソンのステーキのガーリックバターライスを食べた時にかかってた醤油って奴の深みと旨味を感じてん。
でな、ご飯と一緒に食べたらパスタの時のようにわいの口の中で魚の卵とご飯がハーモニーを奏でたんや。
イクラ丼を食べ切ったわいの目の前にあるのはグンカンマキって奴や。
米料理って言っていたからイクラ丼みたいな感じなんやろな・・・。
そう思ったわいは薄く焼いた卵で巻いた奴を口に放り込んだんや。
姉ちゃんは米料理って言ってたよな?
それなのに・・・何か酸っぱい?
けど何か甘いと感じるような?
次にわいは薄切りの肉を巻いた奴を食べてみたんや。
これは・・・柔らかい肉と甘酸っぱいご飯と魚の卵がわいの口の中で三位一体となっていくんや!
薄く焼いた卵を巻いた奴は子供向け、薄切りの肉を巻いた奴は大人向けって感じやな。
「兄ちゃん!薄切りの肉を巻いたグンカンマキって奴をもう一個、いや二個。それとイクラドンというのをもう一杯頼むわ!」
「お客様。鮭の身と卵を使った丼とクリームパスタ、イクラのトーストもありますけど、一緒にお出ししましょうか?」
「それも頼むわ!」
クリームパスタが何なのか分からんけど、トーストって確かパンやったはずや。
冬眠が近い事と兄ちゃんの腕が確かなのを知っているわいは、兄ちゃんが言っていた奴も頼んだんや。
焼いたパンはサクッとしているのに柔らかいし、塩気のあるチーズとイクラの相性もいいんやな。
肉と野菜の旨味が溶け込んでいるクリームソースとパスタを絡ませたら濃厚な風味が広がるし、鮭の卵も鮭の身とご飯を一緒に食べたら鮭の卵だけとは違った食感が楽しめるんやな。
腹いっぱいになるまで食べたからなんやろうな~
わいの目の前には皿が積まれていたんや。
「兄ちゃん、美味かったわ。ごっそさん。それと・・・これは今回の礼や」
代金を払ったわいは兄ちゃんにゴールデンハニービーの蜜が入っている瓶を渡したんや。
「これは・・・?」
「ゴールデンハニービーの蜜や」
「お客様、私はお客様から料理の代金を頂きました。ですからこのような貴重なものを受け取る訳にはいきません」
「いや!これは店にない料理を出してくれた兄ちゃんに対するわいの感謝の気持ちや!」
「・・・・・・そういう事でしたら、お客様にこの蜜をかけたパンケーキを用意する為に使わせて頂きます。ですから冬眠から覚めたら当店にお越し下さい」
「嬉しい事を言ってくれるで。春になったら兄ちゃんのパンケーキを食べに来るからな!」
兄ちゃんのパンケーキを楽しみに森に帰ったわいは元の姿に戻るとそのまま冬眠に入ったんや・・・。
ゴールデンハニービーの蜜をかけたパンケーキか・・・楽しみやな
番を誘ってカフェ・ユグドラシルに・・・
って!
番以前にわいには懇意となっているメスがおらんかったわ!!!
わいも番が欲しいな~
※これが切っ掛けでロードクロイツとシュルツベルクではフォレストベアと取引をするようになり、ゴールデンハニービーの蜜と蜜蝋を使った商品が作られるようになります。
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