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70.エルフによるカフェ・ユグドラシル買収騒動-6-
しおりを挟む三柱が出来立てのガーリックバターライスを口に運ぼうとしたその時、入って来たのは一人の女性エルフと兵士と思しき格好をしている数人のエルフだった。
「店長。お前は動物の血肉を平気で口にする下賤な人間じゃが料理の腕は確かじゃ。だからこの店はこの妾が・・・グリーンリーフ王国の第二王女であるオリヴィアが買い取る!!」
これからはエルフの為だけにその腕を振るい、料理を無料で提供するのじゃ!!!
そう宣ったオリヴィアが一枚の銅貨───一ブロンズを投げ捨てる。
そしてセイリオス、アウグスタス、ファルネウスの目の前にあるジャイアントブラックバイソンのステーキを乗せたガーリックバターライスを冷たく一瞥した後、動物の肉とバターを使った料理等見たくないと言わんばかりに乱暴な仕種で払い落してしまう。
当事者と言っても過言ではないレイモンドと紗雪、給仕であるメアリアとキャスリン、まだ皿洗いと掃除しか許されていない弟子であるキースだけではなく、カフェ・ユグドラシルの店長が作る料理を堪能していた、これから堪能しようとしていた客達はオリヴィアの突拍子のない宣言に呆気に取られたと同時に激しい怒りと殺意を抱く。
「カフェ・ユグドラシルは訪れた者達の種族や身分など関係なく食事を楽しむ場所です!」
「ジゼルの言う通りだ。寧ろ貴女のように他種族を見下すエルフこそ今すぐカフェ・ユグドラシルから出て行くべきだ!!」
「そうだ!俺達はカフェ・ユグドラシルの店長が作る飯を楽しみにしてるんだぞ!!」
「オリヴィア王女。我が友であるレイモンド殿とサユキ嬢を侮辱するという事は儂を侮辱したも同然じゃ!」
ふんっ!
「邪神クリュノスを主神と崇め、生き血を啜る汚らわしい吸血鬼と動物の乳や肉を口にするダークエルフの分際で神に近い存在である妾に対して生意気な口を利くでないわ!それに・・・魔族にとって対極にある混じり者のあの女は恐怖でしかないはずじゃ!」
何より、お前達のような下賤な輩達にとって恐怖以外の何者でもないあの女を奴隷として扱き使ってやるのだから、妾はお前達から感謝されこそすれ、カフェ・ユグドラシルから追い出される謂れなんてないのじゃ!!!
魔族が主神と崇める原初神にして黄泉の神であるクリュノスを邪神と罵られて憤る二人の吸血鬼と狼男にオフィーリアが負けじと言い返す。
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