カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

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69.ブラックソルトとオムライス-1-

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 『店長が作る豆腐ステーキは美味かった』

 『ありがとうございます』

 『実は店長に頼みがあるのだ』

 『頼み?ニコラスさんの頼みとは一体・・・?』

 『肉と卵を使わない丼。店長は作る事が出来るだろうか・・・?』

(・・・・・・・・・・・・)





 「行商人のニコラスさんに頭を下げて頼まれたのだが・・・」

 「挽き肉とハンバーグは大豆ミートと豆腐で作ればいいとして問題は卵よね・・・」

 「まんまー!」

 「レオルくん、偉い♡」

 レイモンドから相談を受けた紗雪は、よちよちと自分の元まで歩いてきたレオルナードを抱きながら考える。

 「目玉焼きはジャガイモとカボチャのように・・・例えば白と黄色の野菜を使うとして、炒り卵はどうするの?」

 ネットショップで卵の代替となる商品を買えば、この問題は即解決だ。

 しかしこの方法は当座を凌げるだけであって、後々の事を考えたら根本的な解決にはならない。

 「・・・・・・紗雪、豆腐で卵を再現・・・いや、見た目だけでも卵に出来ないのか?」

 「豆腐で卵を?!レイモンド、豆腐は白で卵は黄色よ」

 白身の部分は豆腐でいいと思うが、黄身の部分はどうやって再現するのだろうか?

 「野菜か香辛料を使えば黄身の色は再現出来ると思う」

 「こ、香辛料ってシナモンにナツメグ、バニラビーンズにローレルといったあの?」

 紗雪自身、余りスパイスに詳しくないがそれでも思い出しながら答える。

 「ああ。ターメリックって黄色のスパイスだから白い豆腐は黄色になる」

 「それで黄身を再現するのね」

 「どちらかと言えばターメリックで黄色にした豆腐は炒り卵の為だな」

 「炒り卵?炒り卵以外の卵料理は白と黄色の野菜で作るの?」

 「いや。豆腐と香辛料、それ以外の食材で見た目だけは卵料理にするんだ。それ等を使えば半熟の卵料理も出来るのではないか?と考えているのだが・・・」

 「えっ?ま、待って!」

 豆腐とカボチャで再現した卵料理というのはイメージ出来るが、半熟の卵料理を再現するというのは無理ではないだろうか?

 「・・・・・・俺一人であれば無理だろうな」

 紗雪の一言や行動がヒントになる事が多いのだ。

 レイモンドが協力して欲しいと告げると紗雪は快く承諾する。











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