カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

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68.ロコモコ丼と三食丼-7-

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 お~っ・・・

 「肉と卵が乗っていて豪華~」

 「ボリュームがありそうだから肉体労働に従事している人だったら喜びそう~」

 閉店後

 客が居ないカフェスペースに居るのは給仕のメアリアとキャスリン、見習い料理人というかまだ雑用しかしていないキース、そして店主のレイモンド。

 そのテーブルに乗っているのは賄いにして試食用の料理だ。

 レタスに添えているのは数個のミニトマト、そんなレタスの上にはご飯が、その上にはトマトソースがかかっているチーズハンバーグと目玉焼きが盛り付けているロコモコ丼を見た三人が声を上げる。

 「紗雪、ロコモコ丼という料理だがこんな感じで合っているか?」

 階段を登る事は出来るが降りる事はまだ出来ないレオルナードを抱えてカフェスペースまで降りて来た紗雪にレイモンドが声を掛ける。

 「ご飯にハンバーグと目玉焼きを乗せた料理という事しか話していないのに、ここまで再現出来るなんて・・・凄い!」

 しかも美味しそう

 正式なメニューとして加えてもいいくらいの綺麗な盛り付けに紗雪が声を上げて喜ぶ。

 ぐぅ~っ・・・

 「「旦那様!早く食べたいです!」」

 目の前の料理に我慢出来ず、鳴ってしまった腹を押さえながら主張するメアリアとキャスリンに苦笑を浮かべたフォンリヒテル準男爵夫妻は我が子を幼児用の高めの椅子に座らせスタイを着けてから腰を下ろす。

 「レオルくん、レイモンド・・・パパが作ったご飯を食べようね」

 「んっ」

 母親の言っている事を理解しているレオルナードはパチンと手を合わせた後、子供用のスプーンで掬ったハンバーグを口に運ぶ。

 「偉いぞ、レオルくん」

 「レオルくん、上手上手」

 (先輩と奥さん、めっちゃ親バカだ!つーか先輩の子供ってまだ赤ん坊なのに先輩に似て将来美形になる事が保障されてる感じじゃねぇか!これは絶対、女にモテるわ)

 羨ましい~

 スタイは汚しているし、テーブルには食べこぼしがあるのに、それ等を無視してチーズの乗ったハンバーグ、ご飯、目玉焼き、サラダ、スープを交互に食べ進めていくレオルナードを褒める二人にドン引きになりながらもロコモコ丼を食べる。

 「う・・・美味い!」

 「「美味しい~♡」」

 ハンバーグは柔らかくてジューシーで食べ応えがあり、ご飯と一緒に食べたらハンバーグだけで食べた時とは異なった食感を味わう事が出来る。

 塩を振っているのか、目玉焼きの黄身とカリカリと香ばしく焼けている白身からは塩気が感じる。

 野菜は新鮮である事を示すかのように瑞々しく、咀嚼すればシャキシャキとしている。

 これは今すぐにでも正式にカフェ・ユグドラシルのメニューに加えてもいいくらいだと思いながら、三人は食べ進めていく。

 「紗雪、ロコモコ丼だがメニューに加えてもいいのではないか?」

 「そうね。同じロコモコ丼でも一つは王道の目玉焼き、もう一つは牛乳を加えた炒り卵にしたものを出すというのもいいかも知れないわ」

 スクランブルエッグにしないのは使う卵の鮮度と、食べに来てくれたお客さんが半熟である事に不安を抱くかも知れないと考えたからだ。

 「明日から数量限定で・・・そうだな、十食でいいかな?卵の部分を目玉焼きと炒り卵にした三食丼とロコモコ丼を出してみるかな?」

 まずは様子見という形で日替わりメニューとして、人気が出れば正式にメニューとして加えるという形で出す事にした。













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