カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

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68.ロコモコ丼と三食丼-1-

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 ボウルに入れた卵を菜箸で混ぜた後、熱したフライパンで作った炒り卵。

 ネットショップで購入した挽き肉ミンサーで挽き肉にしてから火を通したジャイアントブラックバイソンの肉。
塩茹でしてから細かく刻んだほうれん草。

 ご飯を盛っている大人用の器には大人向けに濃く味付けした三つの具材を、ご飯を盛っている小さな器には一歳児向けに薄い味付けにした三つの具材をそれぞれ盛り付ける。

 キッチンとダイニングを仕切る柵の前では、ママ~と言わんばかりにレオルナードがニコニコと笑みを浮かべながら母親に向けて手を振っており、紗雪は紗雪でそれに応えるかのようにレイモンドに抱っこされている我が子に向けて手を振っていた。

 「レイモンド、レオルくん」

 紗雪がテーブルに持ってきたのは三食丼だ。

 お~っ・・・

 「豪華だ。ありがとう、紗雪。レオルくん、パパ達と一緒に食べようか」

 そう言ったレイモンドがレオルナードにスタイを着ける。

 「にゃあっ」

 パチン

 両親がやっている姿を何度も見ていたからなのだろう。

 神よ、あなたの慈しみに感謝します

 まだ喃語しか話せないが手を合わせるという形でレオルナードは食事前の祈りを捧げた後、手にしたスプーンで掬ったご飯を口に運んだ。

 「レオルくん、美味しい?」

 「んっ」

 一歳児用に味付けされている肉、炒り卵、野菜。

 紗雪が作った三食丼が美味しいのか、レオルナードは夢中になって食べ進めていく。

 「偉い、レオルくん」

 「大きくなったな~」

 今までは自分達がスプーンで掬い、雛鳥に餌を食べさせる親鳥のようにレオルナードの口元に運んで食べさせていた。

 そのレオルナードがこうやって自分で食べるようになった姿を目の当たりにしたレイモンドと紗雪の胸に、我が子の成長が嬉しいと思うと同時に一抹の寂しさが過る。

 「レオルくん、味噌汁を飲もうか?」

 「んっ」

 味噌汁が入っているマグカップを手にした紗雪が、レオルナードがスプーンで掬いやすいようにと考えて息子の前に置いた。

 「・・・スープをスプーンで掬うのはまだ無理のようね」

 カップから直に飲むように出来るようになったが、それも親の支えがあってこそ。

 今のレオルナードはスープをスプーンで掬う事は出来ても、それを自分の口元まで運んで飲むというのは難しいのだろう。

 スプーンで掬った味噌汁を零してしまった。

 レオルナードには食べる事の楽しさを知って欲しい。

 子供のペースに合わせて成長を見守っているレイモンドと紗雪は、味噌汁で濡れてしまったテーブルを見ても怒る事なく子供用のスプーンで掬ったスープをレオルナードに持たせて少しずつ飲ませるのだった。















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