カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

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66.卵を使わないカルボナーラ-2-

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 コンロに置いている鍋に水を注いだら火を点ける。待っていると水が沸騰してきたので、そこに紗雪が塩とマカロニ系パスタを入れる。

 紗雪がマカロニ系パスタを茹でている間、レイモンドはフライパンで適当な大きさに切った豚肉を炒める。そこに低温殺菌しておいた牛乳、二種類のチーズ、顆粒コンソメを入れてひと煮立ちさせていた。

 マカロニ系パスタを一つ摘まんだ紗雪は茹で具合を確かめる。

 (うん!ちょうどいい歯応えになっているわ)

 「レイモンド、パスタがいい具合に茹で上がったわ」

 茹でたパスタを紗雪から受け取ったレイモンドは、フライパンに入れてソースと和えて皿に盛り付けたら黒胡椒をふりかける。

 これで卵アレルギーを持っている人でも食べられる卵を使っていないカルボナーラの出来上がりだ。

 「・・・・・・どんな感じなのかしらね?やはりクリームパスタのような感じなのかしら?」

 カルボナーラといえばソースは卵黄を使うと思っている紗雪には味の想像が出来ないでいるが、初めてのカルボナーラに心が浮き立っている。

 神よ、あなたの慈しみに感謝します

 食事前の祈りを捧げた後、フォークを手にした二人はカルボナーラを口に運ぶ。

 (えっ?)

 「卵黄を使っていないのにパスタに絡んでいるソースが濃厚だわ!」

 自分が知っているクリームパスタよりも肉の旨味が溶け込んでいるソースは濃厚でチーズのコクを感じるし、生クリームを使っているので舌触りは滑らかでクリーミーだ。

 「チーズは二種類使っているんだ」

 羊の乳から出来たチーズと牛の乳から出来たチーズを使っているのだと、レイモンドが紗雪に教える。

 「二種類のチーズ・・・だからソースが濃厚でコクがあるのね。豚肉の塩漬けがいいアクセントになっているし。レイモンド、ソースに牛乳を入れない方がいいような気がするわ。それと日本ではカルボナーラにベーコンを使うのだけど、豚肉の塩漬けを使ったのはどうして?」

 「牛乳を入れない方がよりクリーミーで濃厚なソースになるのだろうな。紗雪の言う通り、試食の時には牛乳を使わないようにする。今回のカルボナーラにベーコンを使わなかったのは口に入れた時に感じる匂いが気になったんだ」

 「確かに・・・そうね」

 日本に居た時にカルボナーラを食べた事がある紗雪はベーコンの燻製の匂いがした事を思い出す。

 「だから豚肉の塩漬けを使ったのね。後、メアリアとキャスリンの意見も欲しいわ」

 このパスタは女性受けしそうな気がするし、高級食材の一つであるオーク肉の塩漬けを使えば富裕層の心を擽るちょっとした贅沢な料理としてメニューに加えられるのではないだろうか?

 「生クリームを入れないでチーズソースだけを絡ませたパスタだったらワインと合いそうな気がするわね」

 「それは俺達がこっそりと楽しみたいから店のメニューに加えないでおこうな?・・・明日はルミナエル教のように宗教的な理由で動物性食品を口に出来ない人でも食べる事が出来るカルボナーラを作るから試食してくれないか?」

 「分かったわ」

 試作したカルボナーラをつまみながら子供の事、店の事、日常の事だけではなく他国の文化や歴史など幅広い話をした次の日










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