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閑話・セフィーリア-8-
しおりを挟む「それで?ローゼンタール公爵夫人は何と答えたのだ?」
異世界では王子と平民女性だけではなく、王女と平民男性が結婚した例があると、セフィーリアは嬉々として祖父母に伝える。
「フィーよ。それは異世界が民主主義で立憲君主国家とやらだから可能なのであって、君主が政を司る我が国や他国では不可能なのだ」
社会の在り方そのものが異なるのだからディートヘルムとセラフィーナはレオルナードを諦めろと口を酸っぱくするのだが、セフィーリアの辞書に諦めるという文字など・・・ない!!!
「フィー、貴女がレオルナード君の事を好いていても肝心のレオルナード君の気持ちがどうなのか聞いた事があるのかしら?」
「いえ。ですが、あたくしがレオルナード様をお慕いしているように、レオルナード様もまたあたくしの事を慕っていますわ!」
((その自信はどこから来るのだろうか?))
疑問を抱いたディートヘルムはレオルナードを自分達が居るテーブルに呼び寄せる。
「多忙のところ済まぬな。実は聞きたい事があるのだ。そなたは何度も自分に求婚している我が孫娘の事をどう思うておる?」
「どう、とは?」
「その、何と言えばいいのであろうな・・・。一人の女性として慕っているとか、慕っていないとか・・・」
どのような答えを出そうが、そなたと家族を一切咎めぬ事を私と孫娘の父の名において保障しよう
(レオルナード様!)
祈るような気持ちでセフィーリアはレオルナードから紡ぎ出される言葉を待つ。
「セフィーリア王女。貴女はキルシュブリューテ王国の王女にして何れはローゼンタール公爵家のご子息に嫁ぐ大切な御身」
準男爵の息子でしかない自分が王女に対してどのように思っているのかを口にするのは余りにも恐れ多い。
しかし、セフィーリアは王女だから国の為に、民の為に生きるのは王族として当然の義務なのだと説く事も忘れない。
「レオル、ナード様・・・貴方もお父様達と同じ事を仰るのですね」
王族なのだから国の為に生きろ
レオルナードの答えに絶望したセフィーリアは静かに涙を流す。
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