カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

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閑話・セフィーリア-4-

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 ロードクロイツから王宮へと戻った翌日

 「お祖父様!お祖母様!昨日も言いましたが、あたくし本気です!」

 あたくしはあの御方と・・・レオルナード様と結婚したいのです!!!

 カフェ・ユグドラシルで食事をした後、予約していた宿屋の部屋へと入るなりディートヘルムとセラフィーナから説教されたセフィーリア。

 その時にセフィーリアは一目惚れした少年の正体がフォンリヒテル準男爵の息子であるレオルナードだと知ったのだ。

 父親であるレイモンドはロードクロイツ侯爵の弟で、母親である紗雪は聖女召喚に巻き込まれた異世界人で義理とはいえシュルツベルク伯爵の妹なのだから血筋的にも王女を妻に迎えても問題はないと主張するセフィーリアに対し、フォンリヒテル家は裕福であるが所詮は名前だけ貴族の家柄でしかない。

 そんなフォンリヒテル家に王女が嫁ぐのは絶対にあり得ないし、レオルナード本人のみならず彼の両親もまた王女を息子の嫁に迎えるのは考えられないと言っていた事を主張するディートヘルムとセラフィーナ。

 彼等の話し合いは平行線を辿っていた。

 「お祖父様とお祖母様はそう仰いますが、レオルナード様とマティウス!どちらが王女の婿に相応しいか・・・分かるでしょう!?」

 セフィーリアにそう言われたディートヘルムとセラフィーナは、レオルナードとマティウスを思い浮かべる。

 貴族子息と言っても通用するオーラを纏い、父親に似てイケメンになる事間違いなしのレオルナードと、そこら辺にいそうな平凡な顔立ちをしているマティウス。

 見た目と雰囲気だけを比べたら断然レオルナードの方が上である事は確かだ。

 但し、魔法と身体能力に関してはマスミを母に持つマティウスの方が上ではないだろうか?

 マティウス同様、異世界人を母に持つレオルナードがどれくらいの能力を有しているのか見た事がないので断言出来ないけど。

 例え血筋は立派でも、平民と変わりない立場であるレオルナードでは王女を妻に迎えるには荷が重すぎる。

 仮にマティウスとセフィーリアの婚約を解消したとして、ローゼンタール公爵家に慰謝料を払うのは王家とフォンリヒテル家だ。

 レオルナードとセフィーリアが恋仲であったのならそうなっても当然だが、二人は顔を合わせたばかりだからそういう関係になっていない。

 異世界人の優れた能力を持つ者の血をキルシュブリューテ王国に取り込んでいく為にも、セフィーリアには身分的に釣り合いが取れる者と結婚して欲しいというのがディートヘルムの本音だ。

 「セフィーリア、そなたは王女だ。王家の者は国の為に生きねばならぬ!!!」

 故に恋に現を抜かすのは許されないのだと、ディートヘルムがセフィーリアに王族としての在り方を説くのだが、婚約者よりも遥かに綺麗な少年に夢中になっている王女に聞く耳など持っていない。

 「お祖父様の馬鹿!」

 (ば、馬鹿・・・!?孫に馬鹿と言われた・・・)

 初めて好きになった人と一緒になる事の何が悪い!?

 自分の事を理解してくれない祖父母に腹を立てたセフィーリアは祖父母の部屋を出て行くのだった。














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