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閑話・セフィーリア-2-
しおりを挟むセフィーリアがレオルナードと初めて出会ったのは、十四歳の時に祖父のディートヘルムと祖母のセラフィーナと共にカフェ・ユグドラシルに食事に行った時だった。
祖父母が土産として買って来るカフェ・ユグドラシルのお菓子を何度も食べた事はあるが、ディッシュ系は食べた事がないセフィーリアは胸を躍らせながら並んで待っていた。
「いらっしゃいませ。窓側のテーブルに案内いたしますね」
そんなセフィーリア達を案内したのが、店の手伝いをしているレオルナード(11)だったのだ。
(な、何て素敵な御方・・・)
シャツにズボン、三角巾という給仕のシンプルな服装なのに、レオルナードが着ていると様になり有名なデザイナーが作った高級ブランド服に見える。
それに纏っているオーラとでも言えばいいのだろうか。
貴族令息や王子といっても通用するレベルだったのだ。
「カフェ・ユグドラシルでお出し出来る料理が書いている冊子です。ご注文が決まりましたらお呼び下さい」
「は、はいっ!」
自分の婚約者であるマティウス(14)など足元にも及ばないレオルナードの外見と雰囲気に心惹かれてしまったセフィーリアは上擦った声で返事をしてから受け取った冊子を開く。
(卵を使っていないディッシュとデザートを頼みたいのですけど・・・)
冊子に目を通しているセフィーリアには、どの料理に卵を使っているのかどうかが分からない。
(そうですわ!)
彼と言葉を交わす絶好のチャンス!と思ったセフィーリアは別のテーブルに料理を運んでいる給仕に自分達のテーブルに来て欲しいと声を掛けるのだが、来たのはレオルナードではなく女給仕だった。
「貴女などお呼びではありませんわ。今、料理を運んでいる彼を呼んで下さい」
(ひぃぃぃっ!)
魔王なオーラを纏っているセフィーリアにドスの効いた声で喧嘩上級者のメンチ切りされてしまった女給仕は、恐怖でガタガタと震えながらもレオルナードをセフィーリア達が座っているテーブルに来て欲しいと声を掛ける。
「お客様?彼女がお客様に何か無礼を?」
(こうやって近くで見ると、ハイレベルな美形だわ)
「いえ!あたくしは、その、え~っと・・・」
将来イケメンになる事が確実のレオルナードに見惚れてしまったセフィーリアは言葉に詰まってしまうが、緊張してしまったのか、彼女は『卵を使っていない料理が何なのか?』という問いではなく別の言葉を紡いでしまう。
「け、けけけけけけ」
「け?」
「けけけけけ結婚!あたくしと結婚!!是が非でも結婚して下さいませ!!!」
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