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64.国王夫妻の食事。そして・・・-1-
しおりを挟む見た目と雰囲気は魔王様だが、己の責務を理解し果たす男が居た。
キルシュブリューテ王国の国王であるディートヘルムだ。
そんな彼の好物は魔王な見た目と雰囲気に相応しいワインやブランデーではなくスイーツ。
特にカフェ・ユグドラシルで出しているデザートが大好きで、時間がある時はお忍びで(勿論、護衛として影と呼ばれる存在がいる)ロードクロイツへと赴いて食べに行くくらいだ。
そして今日はというか、数年前から権力の一部をエセルバードに譲渡して徐々に国王としての自覚と覚悟を持つように促し慣らしていっているので、昔と比べたらディートヘルムは自分の時間が取れるようになり妻と共に過ごすようになっていたりする。
(肉を食べるべきか、魚を食べるべきか・・・それが問題だ)
「陛下、カフェ・ユグドラシルに行くのであれば私達へのお土産を忘れないで下さいね」
「父上、私はシフォンケーキを希望します」
「私はラングドシャをお願いいたしますわ、陛下。それと娘のセフィーリアですが・・・」
「おじいちゃま。あたくしは卵を食べられませんので、卵を使っていないデザートが欲しいです」
ディートヘルムに自分が食べたい菓子を伝えたのはエセルバードの第三子にして第二王女であるセフィーリアである。
卵を食べたら皮膚が赤くなったり咳が出たりといった症状が出るので、セフィーリアは卵を使った料理を口にする事が出来ないのだ。
「卵を使っていないデザート・・・。ふむ、おじいちゃまとおばあちゃまがフォンリヒテル準男爵夫妻に頼んで作って貰ったデザートを土産に買ってくるから楽しみに待っているのだぞ」
「はい」
自分の頭を優しく撫でる祖父の言葉にセフィーリアは素直に頷く。
息子夫婦、孫達に見送られながらディートヘルムはセラフィーナと共にカフェ・ユグドラシルへと向かうのだった。
※後にセフィーリアは譲位して隠居したディートヘルムと共にカフェ・ユグドラシルに行く事になるのですが、そこで店の手伝いをしていた成人前のレオルナードに出会い一目惚れ。『自分と結婚して!』と迫ります。
で、セフィーリアには王女としての立場がある事も、種族的には半神半人に近い上位種であっても準男爵の息子が王女を嫁に出来ないという立場を理解しているレオルナードは従兄のリオンハルトがいるプルメリア島に逃亡。
セフィーリアが婚約者の元に嫁ぐまでクリストフに保護される形で過ごす事になります。
レオルナードはクリストフから色んなことを学び家族と手紙の遣り取りをしているし、新年の祝いはレイモンド達がプリメリア島に赴いてする事になります。
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