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63.精進料理のフルコース。またの名を大豆無双-23-
しおりを挟むメティス王国と本格的に交流を持てば茶葉とスパイスを手に入れる事が出来るかもしれない。
そうすれば抹茶スイーツに紅茶、カレーをカフェ・ユグドラシルで出す事が出来る。
それに───
クスッ
「紗雪?」
突然微かな笑い声を上げた紗雪にレイモンドが不思議そうな視線を向ける。
「ヴァージル陛下とフローレンス王妃が、レイモンドが作った精進揚げを褒めていた事を思い出してしまったの」
メティス王国の国王夫妻を持て成す為の料理を作るという依頼を引き受けて良かったわね
「ああ・・・」
(カフェ・ユグドラシルでも和菓子とゼリーとは別に卵や乳を使わないデザートを出す事が出来たら・・・)
今回の晩餐会についてだけではなく雑談を交わしながらレイモンドと紗雪は王都にあるロードクロイツ邸へと向かっていた。
「父上、母上。ただ今戻りました」
「レイモンド!サユキさん!・・・・・・どうなったの?!」
帰って来た二人を出迎えたのは先代ロードクロイツ侯爵夫妻にシュルツベルク伯爵夫妻、フォンエーデル夫妻、そしてクリストフとソフィーだった。
「ヴァージル陛下とフローレンス王妃はレイモンドが作った料理を気に入って下さいました」
紗雪の一言にランスロット達から安堵の息が漏れる。
「お義父様、お義母様。レオルナードは・・・」
「安心して。リオンちゃんと同じ寝室で眠っているわ」
二人が王宮に向かった時は泣いていたけど、暫くあやしていたら泣き止んでリオンハルト達と一緒に遊んでいた事をエレオノーラが教える。
「だが、泣き止んだレオルくんはどこか寂しそうな感じだったな・・・」
「そうだったわね。レオルちゃんにとって、レイモンドとサユキさんが側に居るというのは当たり前の事だから寂しかったのね」
親である二人が深い愛情をもってレオルナードに接しているのかが分かると、ランスロットが呟く。
「「!!」」
レオルナードに寂しい思いをさせてしまったという罪悪感に占められているレイモンドと紗雪は我が子が眠っている寝室へと向かう。
「「レオルくん」」
子供達を起こさないように気を遣いながら寝室の扉を開けた二人はレオルナードに触れる。
「今日はレオルくんに寂しい思いをさせちゃったな・・・」
「明日からはパパとママが側に居るからね・・・」
両親の言葉が聞こえたのか
或いは自分に触れている手が誰のものなのか分かったのか
レオルナードの寝顔に笑みが浮かんでいた───。
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