337 / 465
63.精進料理のフルコース。またの名を大豆無双-23-
しおりを挟むメティス王国と本格的に交流を持てば茶葉とスパイスを手に入れる事が出来るかもしれない。
そうすれば抹茶スイーツに紅茶、カレーをカフェ・ユグドラシルで出す事が出来る。
それに───
クスッ
「紗雪?」
突然微かな笑い声を上げた紗雪にレイモンドが不思議そうな視線を向ける。
「ヴァージル陛下とフローレンス王妃が、レイモンドが作った精進揚げを褒めていた事を思い出してしまったの」
メティス王国の国王夫妻を持て成す為の料理を作るという依頼を引き受けて良かったわね
「ああ・・・」
(カフェ・ユグドラシルでも和菓子とゼリーとは別に卵や乳を使わないデザートを出す事が出来たら・・・)
今回の晩餐会についてだけではなく雑談を交わしながらレイモンドと紗雪は王都にあるロードクロイツ邸へと向かっていた。
「父上、母上。ただ今戻りました」
「レイモンド!サユキさん!・・・・・・どうなったの?!」
帰って来た二人を出迎えたのは先代ロードクロイツ侯爵夫妻にシュルツベルク伯爵夫妻、フォンエーデル夫妻、そしてクリストフとソフィーだった。
「ヴァージル陛下とフローレンス王妃はレイモンドが作った料理を気に入って下さいました」
紗雪の一言にランスロット達から安堵の息が漏れる。
「お義父様、お義母様。レオルナードは・・・」
「安心して。リオンちゃんと同じ寝室で眠っているわ」
二人が王宮に向かった時は泣いていたけど、暫くあやしていたら泣き止んでリオンハルト達と一緒に遊んでいた事をエレオノーラが教える。
「だが、泣き止んだレオルくんはどこか寂しそうな感じだったな・・・」
「そうだったわね。レオルちゃんにとって、レイモンドとサユキさんが側に居るというのは当たり前の事だから寂しかったのね」
親である二人が深い愛情をもってレオルナードに接しているのかが分かると、ランスロットが呟く。
「「!!」」
レオルナードに寂しい思いをさせてしまったという罪悪感に占められているレイモンドと紗雪は我が子が眠っている寝室へと向かう。
「「レオルくん」」
子供達を起こさないように気を遣いながら寝室の扉を開けた二人はレオルナードに触れる。
「今日はレオルくんに寂しい思いをさせちゃったな・・・」
「明日からはパパとママが側に居るからね・・・」
両親の言葉が聞こえたのか
或いは自分に触れている手が誰のものなのか分かったのか
レオルナードの寝顔に笑みが浮かんでいた───。
0
お気に入りに追加
426
あなたにおすすめの小説

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中


私は聖女(ヒロイン)のおまけ
音無砂月
ファンタジー
ある日突然、異世界に召喚された二人の少女
100年前、異世界に召喚された聖女の手によって魔王を封印し、アルガシュカル国の危機は救われたが100年経った今、再び魔王の封印が解かれかけている。その為に呼ばれた二人の少女
しかし、聖女は一人。聖女と同じ色彩を持つヒナコ・ハヤカワを聖女候補として考えるアルガシュカルだが念のため、ミズキ・カナエも聖女として扱う。内気で何も自分で決められないヒナコを支えながらミズキは何とか元の世界に帰れないか方法を探す。


義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位

異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。

聖女のはじめてのおつかい~ちょっとくらいなら国が滅んだりしないよね?~
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女メリルは7つ。加護の権化である聖女は、ほんとうは国を離れてはいけない。
「メリル、あんたももう7つなんだから、お使いのひとつやふたつ、できるようにならなきゃね」
と、聖女の力をあまり信じていない母親により、ひとりでお使いに出されることになってしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる