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63.精進料理のフルコース。またの名を大豆無双-22-
しおりを挟む「ディートヘルム陛下、セラフィーナ王妃。お二人の心尽くしに感謝の念が絶えません」
「ヴァージル陛下、フローレンス王妃。その言葉は私達ではなくフォンリヒテル準男爵夫妻にかけるべきです」
セラフィーナの言う事は尤もだ。
メティス王国の国王夫妻は今日の晩餐会の料理を作ったフォンリヒテル準男爵に礼を告げたいので、彼を呼んで欲しいとディートヘルムとセラフィーナに頼んだ。
ディートヘルムが給仕の一人にレイモンドを大食堂まで連れて来て欲しいと命じる。
暫くすると、給仕の一人が長身の銀髪青年を伴って大食堂までやって来た。
「レイモンド=フォンリヒテル、お召しにより参じました」
三角巾を取ったレイモンドが頭を下げる。
「フォンリヒテル準男爵よ、メティス王国の国王夫妻がそなたに礼を告げたいという事で大食堂に来て貰ったのだ」
「フォンリヒテル準男爵、フォンリヒテル準男爵夫人。お二人のおかげで楽しい一時を過ごす事が出来ました。心より感謝いたします」
「ヴァージル陛下、フローレンス王妃。我等はただ料理人として当然の事をしたまでです」
「貴殿達にとってはそうであろうが、肉や魚等を口にする事が出来ない私と王妃の為に様々な工夫をしてくれたという事実が嬉しいのだ!」
ヴァージルとフローレンスの言葉と心からの笑顔にこれまでの苦労が報われたと、料理人としての道を選んで良かったと、レイモンドは心の底からそう思っていた。
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