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63.精進料理のフルコース。またの名を大豆無双-21-
しおりを挟む最後の仕上げとして給仕達が運んできたのは食後のデザートだ。
ワイングラスを思わせる器に盛り付けているのは生クリームときな粉。その下にはわらび餅とカラメルソース、或いは黒蜜か。
「フォンリヒテル準男爵夫人。これはパフェに似ているような・・・?」
カフェ・ユグドラシルの常連(?)であるディートヘルムが見た事がないという事は、今回の晩餐の為に考えて作ったのだろう。
「ディートヘルム陛下の仰る通り、デザートにわらび餅パフェを用意いたしました」
クリームはカシューナッツ、わらび餅はジャガイモ澱粉?、きな粉は大豆を挽いたものだし、黒蜜は黒砂糖から作ったので動物性食品は一切使っていない一言を添えておく。
スイーツは卵と動物の乳が欠かせないと思い込んでいたディートヘルムとセラフィーナにとって、目の前にあるわらび餅パフェは目から鱗が落ちる思いだった。
シンプルであるが故の美しさを感じる目の前のデザートに心を惹かれているヴァージルとフローレンスは、早速わらび餅パフェのクリームをスプーンで掬い口に運ぶ。
「きな粉は香ばしく、カシューナッツで作ったというクリームはほんのりと甘く、でもふわふわと軽い食感なのですね」
「水晶のように透明なわらび餅とやらは冷たく適度な弾力があるからなのか食べていると感じるし、何より黒蜜との相性がいい」
「暑い季節、そして春だというのに夏のように暑い日に相応しいデザートですね」
こんな贅沢なデザートは初めてだと、ヴァージルとフローレンスは幸せそうな笑みを浮かべながら心行くまでわらび餅パフェを堪能する───。
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