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63.精進料理のフルコース。またの名を大豆無双-19-
しおりを挟む次に給仕が運んできたのは春に採れる新ジャガイモで作ったポタージュスープとベーグル、そしてフルーツジャムと豆乳バターだ。
一同はスプーンで掬ったスープを口に運んだ。
「このスープ・・・野菜の自然な甘味とコクをしっかりと感じるし、円やかな舌触りがいいですね」
「余はポタージュスープを口にしているが、此度のものは一段とコクを感じてとても美味だ」
何故なのだろうか?とディートヘルムが首を傾げる。
「フォンリヒテル準男爵夫人、教えてくれぬか?」
今回のポタージュスープにはコクを出す為に白味噌を入れているのだと紗雪が教える。
「味噌か・・・」
確か味噌を溶かした味噌汁というスープがあったはず。
レイモンドの料理の腕は料理人として王宮に仕えさせたいレベルであるはずなのに、ディートヘルムがカフェ・ユグドラシルで注文する料理はスイーツ系だけだ。
(次にカフェ・ユグドラシルに行く時は、デザートだけではなくディッシュ系を注文するとしよう)
そんな事を思いながらディートヘルムはベーグルを手にして一口大に千切る。
「フォンリヒテル準男爵夫人・・・この白い塊はバター・・・ですよね?もしかして、このバターも豆乳とやらで作ったのでしょうか?」
「フローレンス王妃様のご推察通り、このバターは豆乳で作っております」
目の前にあるバターが動物の乳ではなく豆乳から作られたバターという事実に安堵したヴァージルとフローレンスは、一口大に千切ったベーグルにバターを塗るとそれを口に運ぶ。
「このパンは私達が普段口にしているパンよりもモチモチとした弾力がある!?」
「それなのに柔らかいとは!」
ベーグルの食感が気に入ったのか、ヴァージルとフローレンスは王族らしく美しい仕種で、だが次々と手にしてはバターを塗ったり、ジャムを塗ったりして食べていく。
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