カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

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63.精進料理のフルコース。またの名を大豆無双-7-

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 「紗雪、精進料理がどのようなものなのか教えてくれないか?」

 肉に魚、卵に乳製品、香りがきつい野菜は使えないという事は分かるのだが、考えてみたら精進料理の歴史と由来を知らないレイモンドは紗雪に尋ねる。

 「精進料理と言うのは・・・」

 殺生や煩悩を避ける為、卵や肉といった動物性食品を使わずに作る料理で中国から日本に伝わったのは鎌倉時代───美奈子が産まれる約八百年くらい前だと、料理作りも僧にとっては修行の一つなのだと紗雪がレイモンドに教える。

 「殺生や煩悩?もしかして、精進料理は修道士や修道女・・・日本では僧侶や尼僧が食べる料理だったのか?」

 「ええ。昔は僧が食べる料理だったけど、私が日本に居た頃は精進料理を出すカフェやレストランがあったわよ」

 キルシュブリューテ王国の修道士や修道女と違い、日本の僧侶や尼僧は魚や乳製品は口に出来ない事も伝える。

 「・・・・・・紗雪が晩餐会で出そうとしているフルコースもだが、豆腐で作った唐揚げやステーキの想像が出来ないな」

 「なんちゃってお肉を作る為には、水気を切った豆腐を冷凍ボックスで凍らせないといけないの」

 「成る程」

 「牛乳の代わりに豆乳、香りがきつい野菜と肉を使わない野菜ブイヨンを使えばポタージュスープは作れると思う」

 「デザートもまだ決まっていない。今から作るのは前菜にして賄いの精進揚げで決まりだな・・・」

 少しでも多くの意見が欲しいレイモンドは、メアリアとキャスリンに精進揚げの試食をして欲しいと頼む。

 「「はい!」」

 自分達には一生縁がない晩餐会に出す予定の料理を食べられるという事で元気良く返事したメアリアとキャスリンの姿を見て笑みを浮かべたレイモンドと紗雪は精進揚げ作りに取り掛かるのだった。












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