カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

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63.精進料理のフルコース。またの名を大豆無双-5-

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 「「来年の春にキルシュブリューテ王国に来訪するメティス王国の国王夫妻を持て成す精進料理を作って欲しい?」」

 客足が少ない時間帯、念の為に閉店の看板を掲げているカフェ・ユグドラシルにデイビッドの一言に空気が張り詰める。

 一国の国王夫妻を持て成す料理を作るのは王宮で働く料理人の役目のはずだ。

 それを名前だけ貴族の自分達に頼むのは筋違いではないだろうか?

 「最初はローゼンタール公爵夫人に頼もうとしたのだが、彼女はまともに料理が作れないのだそうだ」

 ((でしょうね!!!))

 自炊出来るレベルの腕があれば、固かったり焦げたりしているフライドポテトを屋台で売ろうという冒険などしないはずだ。

 「紗雪は精進料理を作った事があるのか?」

 「バイト先や友人達と一緒にランチで食べた事はあっても作った事はないわね。でも、食費を浮かせる為に豆腐で作ったなんちゃってお肉で唐揚げやステーキ、うなぎもどきを作った事があるから何とかなるかも「サユキ殿の知識!レイモンド殿の料理の腕!貴殿達だけが頼りなのだ!!」

 陛下の為!キルシュブリューテ王国の為にも是非この話を引き受けてくれ!!!

 ((こ、恐い・・・))

 鬼気迫る表情で懇願するデイビッドにタジタジになったレイモンドと紗雪は、メティス王国の国王夫妻を持て成す為の精進料理を作る依頼を引き受けるのだった。





 ・肉や魚、卵や乳製品は使えない

 ・ニンニクやネギのように香りのきつい野菜は使えない

 ・アルコール類を口にするのは駄目だが、料理酒として料理に使うのは認めている






 「この三点にさえ注意すればメティス王国の国王夫妻を持て成す料理の方向性が見えたような気がするけど・・・精進料理のように一つの膳に載せればいいのかしら?やはりここは晩餐会のように一品ずつ出すようにすればいいのかしら?」

 「晩餐会のように前菜、スープ、パン、メインディッシュ、デザートでいいだろうな」

 「パン?パンは卵を使うから無理・・・卵と牛乳を使わないベーグルであれば問題ないわね」












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