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62.豆腐-3-
しおりを挟む来月の下旬になれば太陽の再生を祝う光の祭典、それから十日もしない内に新年を迎えるからなのか、何となくだがロードクロイツ全体が浮き立っているように見える。
尤もこれはロードクロイツだけではなく王都や他の地方都市にも言える事だったりする。
「とぅとぅとぅ」
「とぅとぅとぅ。お祭りが近い市場での買い物は楽しいね」
両親と共に市場には何度も来た事はあるが、いつもとどこか違う雰囲気を感じ取っているレオルナードは紗雪が押す乳母車から見える景色を楽しんでいた。
「あら~」
「パパさん、ママさん、こんにちは」
「坊ちゃんもこんにちは」
相変わらずのイケメンでちゅね~♡
今日の食後のデザートである林檎と見ていると欲しくなってしまった蜜柑、肉に魚、野菜を買った後、店舗兼自宅に帰ろうとする三人に誰かが声を掛けてきた。
「貴方方は確か・・・セイリオスさんとアウグスタスさんとファルネウスさん」
レイモンドと紗雪は神様と同じ名前を持つ大食いのオネエ達と挨拶を交わす。
「家族でお買い物だったのね」
「夕食はパパさんとママさんのお店で食事をしたかったのだけど・・・今日はお休みなのね」
「残念だわ~」
セイリオス達は頬に手を当てて溜め息を漏らす。
「休みという事は、あたし達にとって都合がいいのではないかしら?」
「言われてみればそうね。ところで、パパさんとママさんに話があるのだけど・・・今からお宅に寄ってもいいかしら?」
愛嬌と人懐っこい顔つきをしている三柱の、身に纏っている雰囲気が変わった事から大事な話だと察したレイモンドと紗雪は頷いた。
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