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61.コカトリス肉の照り焼き-5-
しおりを挟む「お待たせいたしました。ご注文のコカトリス肉の照り焼きとベーグルです」
メアリアが持ってきた料理は初めて目にするものだった事もあるのか、オネエ達は声を上げる。
「照り焼きという言葉が示す通り、コカトリス肉に照りがあるわ。このソースは魚醤に似ているような気がするけど匂いが違うわね。何をベースにしているのかしら?」
「お兄ちゃま、照り焼きという手法で作った料理を食べてみましょうよ」
「ファルの言う通りだわ。それとさっきも言ったけど、今のあたしは女だから【お兄ちゃま】ではなく【お姉ちゃま】って呼んで欲しいの!!」
弟達の言っている事は尤もだと思ったのか、今は照り焼きという料理を食べる方が先だと思ったセイリオスはコカトリス肉をフォークで刺しナイフで食べ易い大きさに切った肉を口に運ぶ。
「こ、これは・・・!」
「トロっとしているのに照りのあるソースが魚醤に似ているからしょっぱいのかと思っていたけど、適度な辛さとしょっぱさの中にコクと甘さがあるわ!」
「このソースは魚ではなく穀物を発酵させたものね!?」
「パリッとするまで焼いた皮の部分、肉汁が溢れてジューシーで柔らかいコカトリス肉と照りのある甘辛いソースが絡む事で食が進むわ!!」
「このベーグルというパン・・・もちもちと弾力があって噛み応えがあるからなのかクセになるわね」
自分達が知っているパンは小麦粉と水を捏ねただけ、或いはそれに塩と酵母以外にバター・卵・牛や山羊の乳を使って作ったものだが、ベーグルからはバターや卵を感じなかった。
昔のパンと似ているのに、どこか新しさを感じるベーグル。
神代の頃にはなかった料理を三柱は心から楽しむ。
「この店の料理、美味しかったわね。お兄ちゃま」
「お兄ちゃまではなくお姉ちゃま!」
「そうね。これだと他の料理も期待出来そうね」
「今のあたしはチーズを食べたい気分だから、チーズを使った料理を注文するわ」
「給仕のお嬢ちゃん」
コカトリス肉の照り焼きとベーグルを食べ終えた三柱は新たな料理を注文する為、他のテーブルに料理を運んでいたメアリアに声を掛ける。
「はい」
「店長?シェフ?が作った料理、とても美味しかったわ。だからね、他の料理も食べてみたいの」
アウグスタスが注文した料理は三品だったが数が多かったものだからメアリアの顔から血の気が引いていく。
「お、お客様!?これだけの料理を出すとなれば時間を要しますが・・・よろしいでしょうか?」
「ええ」
「期待しているわよ」
アウグスタスが注文した料理をレイモンドに伝える為、メアリアは慌てて厨房へと戻る。
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