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57.オークキングの肉とカボチャ-3-
しおりを挟むミルクパン粥、カボチャのペースト、皮と骨を除いて細かく解した鮭、トロトロに煮込んだ蕪
これが本日二度目の離乳食メニューだ。
(カボチャを見ていたら、ほうとうが食べたくなってきちゃった。でも、うどんを作っていないから諦めるしかないわね)
居間では息子に色々話しかけたり、ずり這いしているところを見守ったり、「レオルくん、高い高い」と言いながら遊んでいる二人の様子をカウンター越しで眺めながら紗雪はレイモンドが適当な大きさにカットしてくれたカボチャを茹でたり、柔らかくなったカボチャを裏漉ししたり、冷蔵ボックスから取り出した牛乳をコンロの上に置いた小鍋に入れて弱火で温めたりしてレオルナードの離乳食を作っていた。
「にゃあ!」
「レオルくん。もう少しでご飯が出来るからね」
レイモンドに抱っこされながらキッチンに入って来たレオルナードに紗雪が優しく語り掛ける。
そんなカフェ・ユグドラシルにしてフォンリヒテル家に来訪を告げる呼び鈴の音が鳴った。
「俺が対応する」
「よろしくお願いします」
「誰が来たのでちゅかね~?」
レオルナードを抱っこしたままレイモンドが玄関へと向かった。
「ち、父上!?母上!?クリストフ陛下!?」
フォンリヒテル家を訪れたのは、グスタフに家督を譲った後は郊外の屋敷で隠居している先代ロードクロイツ侯爵にしてレイモンドの父であるランスロットと母のエレオノーラ、そしてプルメリア島を治めるダークエルフの長たるクリストフであった。
「久しいな、レイモンド殿。赤子だったレオルナードも初めて見た時と比べたら大きくなった・・・?ような気がするのぅ」
(レオルナードは白鳥処女の血を引いておるから成長が早いのかと思っていたのじゃが・・・)
事実かどうか分からないが、お伽噺や物語に出てくる人間と白鳥処女との間に出来た子供は僅か数ヶ月で成人した、となっている。そして、その子供は後にどこかの国の王になるとか、どこかの一族の長になるというラストで締められるのが主流だった。
人間と天女の血を持つレオルナードがまだ赤子だという事実にクリストフは何だか不思議な気分になってしまう。
(人間にして白鳥処女、だがそのどちらでもないサユキ嬢を母に持つからこそ・・・レオルナードは人間と同じ早さで成長しているのじゃろうな)
「父上、母上、クリストフ陛下。こんな所で立ち話をするのは無粋以外の何物でもありません」
お茶でも用意すると言ったレイモンドは、突然の客人を居間へと案内する。
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