カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

文字の大きさ
上 下
257 / 454

55.トマトのパンナコッタ-7-

しおりを挟む










 翌日

 「紗雪がトマトを苦手としているのは青臭さにあると思う」

 「た、確かに・・・。子供の頃はトマトの青臭さが苦手で食べるのに苦労したわ」

 「ぱぱぱぱぱ」

 小さな手をにぎにぎしているレオルナードが乗っている乳母車を押して買い物に付き合っている紗雪が当時の事を思い出す。

 今でこそ何とか食べる事が出来るようになったが、それは付き合いというものがあったからだ。

 「という事はトマトケチャップやソースを作る時のように、或いはレオルくんの離乳食のように加熱したトマトであればデザートとして使えるのではないのか?」

 確かにレオルナードの離乳食でトマトを使う時は青臭さを除く為に沸騰した湯に通して皮を剥いているし、当然ではあるが種も取っている。

 その後は適当な大きさに切ったトマトを煮詰めて裏漉ししたものを味見するのだが、青臭くないので食べ易い。

 離乳食としてペーストにする事はあってもデザートとして食べるという考えがない紗雪は、デザートになったトマトの風味を思い描けないでいる。

 「後は熟しているかどうか・・・だろうな」

 「熟しているトマトを使うのは分かるけど・・・それよりも、吸血鬼のお客さんが希望しているデザートだけど何にするか決まったの?」

 「ああ。ゼリーにするつもりだ」

 「トマトのゼリー・・・」

 (あ、味の想像が出来ないわ)

 「店主、トマトを買いに来た」

 「はいっ!ありがとうございます!」





 坊ちゃん、大きくなりましたね~

 ああ、六ヶ月だ。ずり這いが出来るようになったんだ

 坊ちゃんはお目目くりくりしているから将来は父ちゃんに似ていい男になるんだろうな~

 母ちゃんに似てもいい男になる事間違いなしだ





 トマトゼリーはトマトジュースのような味がするのかを思い描いている紗雪をよそに、レイモンドは八百屋の店主と会話しながら今回のメインであるトマトだけではなくレオルナードに食べさせる為の野菜も買っていく。











しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

聖女のおまけです。

三月べに
恋愛
【令嬢はまったりをご所望。とクロスオーバーします。】  異世界に行きたい願いが叶った。それは夢にも思わない形で。  花奈(はな)は聖女として召喚された美少女の巻き添えになった。念願の願いが叶った花奈は、おまけでも気にしなかった。巻き添えの代償で真っ白な容姿になってしまったせいで周囲には気の毒で儚げな女性と認識されたが、花奈は元気溌剌だった!

召喚聖女に嫌われた召喚娘

ざっく
恋愛
闇に引きずり込まれてやってきた異世界。しかし、一緒に来た見覚えのない女の子が聖女だと言われ、亜優は放置される。それに文句を言えば、聖女に悲しげにされて、その場の全員に嫌われてしまう。 どうにか、仕事を探し出したものの、聖女に嫌われた娘として、亜優は魔物が闊歩するという森に捨てられてしまった。そこで出会った人に助けられて、亜優は安全な場所に帰る。

【完結】婚約者は偽者でした!傷物令嬢は自分で商売始めます

やまぐちこはる
恋愛
※タイトルの漢字の誤りに気づき、訂正しています。偽物→偽者 ■□■ シーズン公爵家のカーラは王家の血を引く美しい令嬢だ。金の髪と明るい海のような青い瞳。 いわくつきの婚約者ノーラン・ローリスとは、四年もの間一度も会ったことがなかったが、不信に思った国王に城で面会させられる。 そのノーランには大きな秘密があった。 設定緩め・・、長めのお話です。

お飾りの聖女は王太子に婚約破棄されて都を出ることにしました。

高山奥地
ファンタジー
大聖女の子孫、カミリヤは神聖力のないお飾りの聖女と呼ばれていた。ある日婚約者の王太子に婚約破棄を告げられて……。

【完結】私の見る目がない?えーっと…神眼持ってるんですけど、彼の良さがわからないんですか?じゃあ、家を出ていきます。

西東友一
ファンタジー
えっ、彼との結婚がダメ? なぜです、お父様? 彼はイケメンで、知性があって、性格もいい?のに。 「じゃあ、家を出ていきます」

踏み台(王女)にも事情はある

mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。 聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。 王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈 
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

幼女エルフの自由旅

たまち。
ファンタジー
突然見知らぬ土地にいた私、生駒 縁-イコマ ユカリ- どうやら地球とは違う星にある地は身体に合わず、数日待たずして死んでしまった 自称神が言うにはエルフに生まれ変えてくれるらしいが…… 私の本当の記憶って? ちょっと言ってる意味が分からないんですけど 次々と湧いて出てくる問題をちょっぴり……だいぶ思考回路のズレた幼女エルフが何となく捌いていく ※題名、内容紹介変更しました 《旧題:エルフの虹人はGの価値を求む》 ※文章修正しています。

処理中です...