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55.トマトのパンナコッタ-3-
しおりを挟む「お客様、テーブルにあるこの冊子が当店で出せる料理が書いているメニューです」
「あ、ありがとう・・・」
魔族である自分達と普通に接する紗雪が、人間以外の存在を無条件で見下し滅ぼそうとする宗教国家の聖職者のように偏った考えを持つ存在ではないと分かったが、それでも対極の力を持っている者が怖い事に変わりなない。
「ご注文が決まりましたらお呼び下さい」
「わ、分かった。そうさせて貰うとしよう・・・」
紗雪が別の席へと向かっている姿を見届けた後、二人は彼女が言っていた冊子を手にする。
ほぅ・・・
「小さく切ったトマトを和えた冷たいパスタにスープ、トマトケチャップをかけたハンバーグという料理、トマトケチャップとチーズを乗せたピザトースト・・・」
これは注文しない方がいいな
パンはバターとチーズ、フルーツジャムを付けて食べる物だという拘りがあるセバスティアンは、ピザトーストだけは絶対に注文しない!と思いながらメニューに目を通す。
「あっ!このお子様ランチっていいですね」
トマトケチャップで炒めたご飯、エビフライ、ハンバーグ、サラダ、何と言ってもプリンという甘いデザートが付いているという。この料理は大人から見ても実に魅力的だった。
「だが、このメニューはお子様という名前が冠してある。大人である我等は頼めない料理ではないのか?」
「・・・そう、ですよね?」
やっぱりダメか~
セバスティアンに指摘された事でヴェルネージュは、お子様ランチの注文を諦める。
「トマトを使った料理・・・私は海老のトマトクリームパスタでいいかな?デザートはシャーベットパフェ」
「俺はミートボールのトマト煮とパン、デザートは・・・かき氷って奴にします」
注文する料理が決まったセバスティアンとヴェルネージュは、料理を食べ終えた客が居なくなった後のテーブルの上に乗っている皿を厨房に運んでいた紗雪に声を掛ける。
「レイモンド、海老のトマトクリームパスタとミートボールのトマト煮の注文が入ったわよ。シャーベットパフェとかき氷は食後のデザートだから料理を食べ終えた頃に持って行くわ」
それと・・・海老のトマトクリームパスタを頼んだ人は吸血鬼だからニンニクを入れない方がいいわね
「分かった」
(天女って人間かそうでないかの区別がつくのだな~)
これは自分には出来ない芸当だと思いながら、紗雪からメニューを聞いたレイモンドは料理を作っていく。
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