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55.トマトのパンナコッタ-2-
しおりを挟むカフェ・ユグドラシルはキルシュブリューテ王国のロードクロイツという地にあるという事をメイド達から聞き出したセバスティアンとヴェルネージュ。
「キルシュブリューテ王国はブラッドカリスから見て・・・西にあるのか」
「というより、カフェ・ユグドラシルってブラッドカリスからトマトを輸入している国にあったのですね」
人の姿のままで移動すれば一日以上かかるが、蝙蝠、狼になれば半分以下の時間で済む。
蝙蝠、狼に変身した二人は新たなトマト料理を求めてキルシュブリューテ王国へと向かう。
半日後
門番に身分証明書を見せた二人はロードクロイツに足を踏み入れた。
「人間の町は面白いな」
「発展が早いと言えばいいのでしょうか」
数代前から当代の領主が金と時間をかけてインフラを整えてきたのだろう。
百年前と比べたら町が、河川が清潔になった。
市場は活気に溢れ店が軒を連ねるようになった。
すっかり様変わりしてしまった街並みをセバスティアンとヴェルネージュは興味深く見物していた。
「殿下、メイド達が言っていた店ってあれじゃないですかね?」
ヴェルネージュが行列を成している店を指差す。
「多分、そうだろうな。では並ぶとするか」
どのようなトマト料理が食べられるのだろうか?
期待を胸に二人は並ぶ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「いらっしゃいませ。窓際の席に案内いたします」
「んだんだ!」
「「ぎゃっ!!」」
赤子を背負っている女給仕から、全ての邪悪を滅ぼすと言えばいいのだろうか。
自分達とは正反対の・・・エルフより上位種でしかも聖なる気配を感じ取ったセバスティアンとヴェルネージュが悲鳴を上げながら互いに抱き着く。
赤子を背負っている女給仕は紗雪で、彼女の後ろで機嫌良さそうな声で『んだんだ!』と言葉を発したのは長男のレオルナードだ。
(おいっ!女給仕が混じり者・・・しかも簡単に俺達を倒せそうな物騒な存在との混血だったとは聞いてないぞ!?)
(お、俺だって知りませんでしたよ!)
知っていたら来なかったと、セバスティアンとヴェルネージュはアイコンタクトしていた。
「お客様?席に案内いたしますね」
「「は、はいっ!」」
((こいつにだけは逆らわない方がいい!!))
二人はアイコンタクトしながら紗雪の後を付いていく。
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