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54.聖女との対決-5-
しおりを挟むえっ?
聖女マリカって男であれば誰にでも股を開く阿婆擦れ?
科を作ってランスロットとアルバートという他国の高位貴族の当主とその息子であるレイモンドに言い寄るという茉莉花の常識知らずの姿にウィスティリア王国の国王夫妻と貴族達の顔からは血の気が引いており、婚約者であるエドワードと彼女の恋人であるギルバードに至っては三人よりも格好悪いと言われた事実に傷ついていた。
しかし、一番の怒りを覚えたのはエレオノーラとロスワイゼ、紗雪、彼女達の伴侶であるランスロットとアルバート、婚約者であるレイモンド。そして紗雪とレイモンドの事を『種族を越えた友』と呼んでいるクリストフだ。
「「小娘!平民風情で我等に触れるな!汚らわしい!!」」
「売女の分際で俺の婚約者を侮辱とは、いい度胸だな?」
茉莉花に触れられなかったとはいえ、言い寄られたという事実は三人のプライドを傷つけるのに十分だった。
ランスロットとアルバートは茉莉花に向けて攻撃魔法を放ち、レイモンドが素早く喉元に剣の切先を突き付ける。
「儂の友を侮辱した貴様だけは・・・絶対に許さん!!」
ちなみにクリストフも攻撃魔法を放ったのだが、流石はダークエルフの長とでも言えばいいのか、その威力は初歩のものであっても謁見の間の床の一部を裂くほどだ。(某大魔王様の「〇ラゾーマではない、〇ラだ」という台詞が似合うものなのでクリストフが使った魔法の威力は何となく想像出来るかと)
「ひっ!」
日本ではイケメン、イケオジに金やブランド物を貢がせていた茉莉花にとって自分に逆らい刃を向けられるという事は初めてだった。
まさかイケメン一人とイケオジ二人に自分の魅力が通じないなんて夢にも思っていなかった茉莉花は思わず腰を抜かしてしまっただけではなく、引き攣った悲鳴を上げてしまったのだ。
茉莉花が座り込んでいる場所からは水が漏れ、謁見の間の床を濡らす───。
「聖女様がお漏らしをするのは・・・邪神・サマエルを見た時以来ですね」
「聖女様だけではなく王太子殿下とギルバード様もいい年をしてお漏らししてしまったから、使い物にならなかったんだよな~」
邪神討伐の道中では我が儘言いたい放題だったし、夜になれば・・・時には昼間であっても猿のように盛って寧ろ足手纏いでしかなかったと、紗雪達を援護射撃するかのようにラルクとカーラが茉莉花達に恥をかかせる意味で【粗相】ではなく【お漏らし】という言葉を使って当時の事を語る。
「普段から剣術や体術の稽古をサボっていた王太子殿下とギルバード殿が邪神討伐という偉業を成し遂げるなんて、良く考えたら絶対にありえない事ですわね」
「聖女様が使う魔法であればそれも可能だったのかも知れませんが・・・。実際、聖女様の魔法ってどれくらいの威力と効果があるのでしょうか?」
救国の英雄と称えられている三人に対して何か思うところがあったのだろう。
エドワードとギルバードの元婚約者であったシーラとオリビアも今更感があると分かった上で疑問の声を上げる。
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