カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

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54.聖女との対決-3-

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 「「若いっていいわね~」」

 エレオノーラとロスワイゼがユニコーンに乗って牧場を散策している若い二人を見守っている頃

 「・・・・・・主。今あの子達が乗っているユニコーンを含めて四頭借りたい」

 「そのユニコーンを明日までに車に繋げて欲しいんだ」

 「畏まりました。お客様、よろしいでしょうか?まず、ユニコーンは草花や植物、ベリーを主食としています──・・・」

 自分も子供達のように金羊に乗って牧場を散策したいと盛り上がっているエレオノーラとロスワイゼは当てにならないと判断したランスロットとアルバートとクリストフが主と話し合って旅の準備を進めていた。

 暫くして───

 「二人共、楽しかったか?」

 ユニコーンの試乗から戻って来た紗雪とレイモンドにランスロット達が声を掛ける。

 「「あ゛っ・・・」」





 自分達は車を牽く聖獣を借りに来たのだった!





 厩舎に来た目的を思い出した二人は申し訳なさそうな顔をしてランスロット達に謝罪する。

 「阿婆擦れ・・・ではなく、聖女に言いがかりをつけられている当事者である紗雪殿と、紗雪殿を支えるお前にとって戦う前の心の休息も大切な一時だ」

 (父上・・・随分と機嫌がいいような?)

 「そうそう、ランスロットの言う通りだ。レイモンド殿、面倒な事は親である俺達に任せて貴殿はサユキと絆を深めればいいんだ」

 サユキが住んでいた世界ではグリフォンやペガサスは幻の存在らしいから、キルシュブリューテ王国の事を学ばせる感覚で魔獣や聖獣について話をしてやったらどうだ?

 「シュルツベルク伯!?」

 「お、お養父様!?」

 「さ、紗雪?他の魔獣について教えようか?」

 「お願いします」

 お見合いの席のように後は若い二人で楽しんで来いと言わんばかりに、アルバートに背中を押された二人は厩舎で飼っている魔獣を見に行く。





 ダチョウに似たアックスビークに黄金色に輝いているガルーダ

 地球では幻である魔獣を前にしている紗雪は子供のように目を輝かせていた。

 紗雪とレイモンドが、〇王号とお呼びしたい威風堂々な二本角の巨大な馬の房の前を通ったその時

 (角が二本生えているユニコーンに似た黒い魔獣は何だったかしら?・・・・・・そうだ。確かバイコーンと言ったはず)

 「紗雪!バイコーンは紗雪のように男を知らない乙女が目の前にいるだけで暴れ回ってその娘を殺そうとするから早く逃げるぞ!!」

 「レ、レイモンド!?」

 紗雪が房の前を通った事で殺意を覚えて狂ったように暴れ始めたバイコーンが自分達を襲おうとしたのだか、婚約者を助けるべくレイモンドが手を引いて厩舎から全速力で逃げたのは言うまでもない。











※バイコーンから見て紗雪は対局の位置にある存在。
紗雪が子供を産んでも彼女には天女の血が流れているのでバイコーンに乗る事はおろか触れる事すら出来ません。寧ろ『てめぇ、ぶっ殺す!!』的な殺意すら覚えられる。
紗雪の場合、魔獣に分類されている獣には乗れないが、聖獣に分類されている獣であれば乗れる。
その血は男女問わず子孫へと受け継がれます。







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