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52.聖女からの宣戦布告(後編)-4-
しおりを挟む「紗雪。聖女を名乗る性女と・・・陛下の御前で品のない言葉を使ってしまった無礼をどうかお許し下さい。未来の王太子妃殿下(笑)とその下僕と化してしまった王太子達に売られた喧嘩だが・・・どのような方法で買うか決まったのか?」
「それは構わぬが・・・」
(阿婆擦れ?ウィスティリア王国の聖女は男狂いであったのか?)
色々と聞きたい事はあるのだが、ディートヘルムは聖女がどのような人間であるのかを理解する意味で情報収集に専念する事に努める。
「レイモンド殿、そなた達を侮辱したのだから儂のゴーレムでウィスティリア王国を焼け野原にしてやるというのはどうじゃ?」
「それ、いいですね!」
「レイモンド・・・クリストフ陛下・・・」
放っておいても茉莉花と愉快な仲間達(笑)は梅毒で死ぬ事が決まっているのだ。
何の関係もないウィスティリア王国の国民を巻き込むのだけは避けて欲しいと、まるで世間話をしているような感覚で話しているレイモンドとクリストフを宥めようとする紗雪にランスロット夫妻と養父母が、売られた喧嘩は買って貴族としての体面を守らなければならないのだと教える。
「紗雪殿。聖女はウィスティリア王国の王太子妃として迎え入れられるらしいが、教会のみならず貴族家・・・それこそ男爵家ですら彼女の後見になる事を拒絶している」
「つまり、サユキを侮辱する文を陛下に送った聖女とやらは、ウィスティリア王国だけではなく世界各国においても救国の英雄という肩書を持った平民の客人でしかないの」
「サユキは平民として・・・いや、準男爵の奥方として生きる事が決まっているとはいえ今は伯爵令嬢という立場にある」
「貴族令嬢を侮辱する平民を罰してもサユキさんは罪に問われないし、何よりウィスティリア王国の国王の前で聖女の非道振りを晒すいい機会だわ!」
「卿等が盛り上がっているところで話の腰を折って済まないのだが、聖女がどのような女性なのか教えてくれぬか?」
「そうですね・・・」
レイモンド達は茉莉花がどのような人間であるかを遠見の術で知っているが、ディートヘルムにとって聖女は救国の英雄にしてエドワードの妃になる異世界人という認識でしかない。
自分と茉莉花は同じ大学に籍を置いていたというだけで、幼馴染みや学生の頃から親しい友人という風に深い付き合いをしていた訳ではない。
だが、彼女の素行の悪さと非常識振りは有名だったと前置きした上で紗雪は茉莉花について語り始める。
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